出版社内容情報
●租税法と刑法が交錯する租税制裁法の第一人者による最新作!●租税法と刑法が交錯する租税制裁法の第一人者による最新作!
逋脱犯処罰における実刑中心主義を初めて説いた旧版に、その後公表の関連論稿を加えた増補版。
租税逋脱犯の個別論点、地方税に関する租税制裁、過少申告加算税、重加算税、延滞税、犯則調査手続・無許可輸出入罪の改正など幅広いテーマを取り上げ、租税制裁法の具体的展開を示した待望の最新版。法改正にも深く関わり、この分野におけるトップランナーとして走り続ける著者による注目の書。
第1部 租税制裁法の構造と機能
第1章 租税制裁法の意義と問題の所在
第1節 租税制裁法の理論的検討
第2節 日本における租税制裁法の問題点
第2章 租税制裁法の比較法的研究―ドイツとアメリカの制度を素材として
第1節 序――比較法的研究の視点
第2節 ドイツの制度
第3節 アメリカの制度
第3章 日本の租税制裁法についての検討
第1節 序――問題の整理・本章のねらいと構成
第2節 上乗せ方式放棄論の検討
第3節 日本の租税制裁法の合理化
第4節 租税逋脱罪の法的性質とその特殊性
第2部 租税制裁法の具体的展開
第1章 いわゆる青色申告取消益と逋脱犯
第2章 地方税法における租税制裁
――制度の概観に関する研究ノート
第3章 過少申告加算税を免除する「正当な理由」に関する一考察
――IMPACTを手がかりとして
第4章 納税者以外の者による隠蔽・仮装工作と重加算税
第5章 いわゆる「つまみ申告」と重加算税
――租税制裁における主観的要件重視の傾向について
第6章 延滞税・利子税・還付加算金
第7章 延滞税改革
――平成25年改正と今後の方向性
第8章 犯則調査手続の改正(平成29年3月)について
第9章 金密輸を契機とした無許可輸入罪の改正(平成30年3月)について
【事項索引】
佐藤 英明[サトウ ヒデアキ]
著・文・その他
内容説明
本書では、逋脱犯に関する規定を、一方で納税義務違反を予防する制度として考察し、他方で租税債権を侵害する罪として財産犯と性質付けた。この前者は逋脱罪を機能的な観点からみたものであり、後者はそれを法理論的な観点から考察したものであって、これらは無論、矛盾するものではない。しかし、さらに考えると、このことは租税法を法的な観点とは別に機能的な観点から構成する可能性について示唆しているのである。ここで述べたような機能的な観点からの考察も、租税法を多面的に考察する際には一定の有用性をもつもののように思われる。本書はそのような租税法の機能的な考察の一つの試みであると位置付けることができよう。
目次
第1部 租税制裁法の構造と機能(租税制裁法の意義と問題の所在;租税制裁法の比較法的研究―ドイツとアメリカの制度を素材として;日本の租税制裁法についての検討)
第2部 租税制裁法の具体的展開(いわゆる青色申告取消益と逋脱犯;地方税制における租税制裁―制度の概観に関する研究ノート;過少申告加算税を免除する「正当な理由」に関する一考察―IMPACTを手がかりとして;納税者以外の者による隠蔽・仮装工作と重加算税;いわゆる「つまみ申告」と重加算税―租税制裁における主観的要件重視の傾向について ほか)
著者等紹介
佐藤英明[サトウヒデアキ]
慶應義塾大学大学院法務研究科教授。1962年福岡県生まれ。1985年東京大学法学部卒業。東京大学法学部助手、神戸大学法学部助教授、同教授、同大学院法学研究科教授を経て、2011年から現職。専攻は租税法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。