内容説明
ポール・ティベッツ、三十歳。その日、彼は特命を帯びて機長席についた。機名はエノラ・ゲイ。彼の母の名だった…それから半世紀余の月日が流れ、ティベッツは八十三歳の老人となっていた。二十年にわたり、広島に原爆を投下した男を追い続けてきたボブ・グリーンは、九八年秋、その取材に成功する。世代を隔てた二人の間に芽生えた奇妙な友情。ついに重い口を開いた老人の話から、グリーンは、それまで理解することのできなかった自分の父とその世代に生きた男たちの真情を知る…。
著者等紹介
グリーン,ボブ[グリーン,ボブ][Greene,Bob]
アメリカを代表するコラムニスト。「シカゴ・トリビューン」紙、及びグラフ誌「タイム」のコラムを担当する。また、放送ジャーナリストとしても、ABCのニュース番組「ナイトライン」で活躍中
山本光伸[ヤマモトミツノブ]
1941年、東京生まれ。国際基督教大学卒。翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
べらし
0
ボブ・グリーン版『父親たちの星条旗』。あそこまで日本の事情に対する無理解が見られるわけではないがやはり、違和感は拭えない2017/06/18
ami
0
時節柄読んだ1冊。ティベッツはどこぞの国の首相よりよほど人間としてグレードが高いです。それでもやはり原爆投下がジェノサイドだとは認められないのでしょう。日本人には今一つピンとこないアイデンティティというものが認めさせないのだと感じました。軍人としての矜持と誇り、こんなもののためにどれだけの人間が死んでいったのか。しかしこの機に母親の名前を付けるとは…男ってヤツぁ…(-_-;)2009/08/25
Translater#6
0
先日NHKで放送されていたドキュメント「人から人へ」を見てエノラ・ゲイの副操縦士、ロバート・ルイスのエピソードを知り、読み返した。ルイスについて言及があったか否かを確認するために読み返したといっていい。結果、なかったが、日米という国を隔てて戦争に翻弄された人々の思いをまた違った角度から見つめることができた。歴史にもしはない。それでも当時、もし国際的な立場が逆で、日本が原爆を手にしていたら、日本は落とさずにいられただろうか。当時の人たちは「戦争を止めるために必要だった」と言わなかっただろうか。2019/08/21
wealth
0
図書館で。グリーン大好きなので図書館にあったのは嬉しかったけど、テーマが…でもそこはグリーンなので、私が読めないレベルの残酷描写はないだろうと信じて恐る恐る読み始めた。ほんとになかった。亡き父をティベッツに映しながら、肉親だからできなかった話とティベッツだからこその話を綴る。Aにとっての幸が成立するとき、Bにとっての幸は成立しない、どうしてもそういうことはあって、相容れないし選択肢cもない、そういう事が往々にしてある、ただ、ある、と…そういう本だった。日本人としては、終始苦虫を噛み潰す。でもそれが戦争だ。2019/06/19
Translater#6
0
二度目の読了。学ぶところ、感じるところの多い作品で、これからも繰り返し読み返すこと必至。2018/09/30