内容説明
暴力、ドラッグ、幼女売春…。ジャズバーのバーテンの顔をもちながら、闇の世界に生きる夏彦。彼を次々と襲う危機また危機。果たして夏彦は、暴力と欲望の地獄から幼女アリスを連れて逃げ出すことができるのか?骨太なストーリー展開と押し寄せる感動の波が見事に共振するミステリー第六回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
著者等紹介
三上洸[ミカミアキラ]
1967年東京都生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。「藍川暁」名義で応募した『日出づる国のアリス』で第六回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。単行本に際し、『アリスの夜』と改題
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感想・レビュー
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あつひめ
38
日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作だそうだ。これが新人さんの作品?とびっくりしながら最初から最後まで引き込まれてしまった。登場人物の一人一人の個性が作品の調味料になっている。アリスの透き通るような笑顔や声が文字からでも感じられる。誰かに助けてもらって…なんて物語を止めてしまうような気持ちでドキドキしながら読んだり。最後まで生きていられたことにほっと胸をなでおろした。三上さん初読みですが、他の作品もきっとドキドキしちゃうんだろうなぁ~と期待に胸を膨らませながら図書館に予約しました~。2011/12/09
そのぼん
22
透明感のある美少女『アリス』と、彼女と出会ったことで、人生がかわっていく青年。 色々とダークで人間の嫌な部分も見せつけられる作品でした。 表紙も『アリス』のイメージを上手く表していたと思います。2012/05/29
Nak34
19
デビュー作品と聴く度に、あの本を思い出すのけど(KA○○RO○)、これは、唸るしかないね。気が付くとのめり込んで読んでいた。文章表現といい、内容・構成といい、力の限りとことん書き尽くした作品。最後の2行の終わり方が秀逸。途中の暴力描写は、好きじゃないけど、次回作が大変だわ、これは。全くミステリーではない。ハードアクション系が好きな方は、良いかも。2012/01/08
RIN
16
初読みの作家さん。ジャンルとしてはハードボイルドになるのかな。大沢在昌さんの闇社会バイオレンスと香納諒一さんの無力感に苛まれる切なさと永瀬隼介さんの社会の仕組みの理不尽さへの怒りとやりきれなさが融合したような作品。それでいて焦燥感に駆られるハイテンションな独特の雰囲気があるので他の作品も読んでみたいと思う。2013/05/03
こたろう
11
自らの心の深い部分を壁で囲んで生きてきた男と、その壁の中にするりと入り込んできた少女の物語。と言うと随分綺麗だけど、少女を喰い物にしたり目を背けたくなるような拷問があったりと、かなりエグい。それでも読了してみると痛い程の愛情を感じる物語だった。抜群のスピード感に引っ張られ一気読み。デビュー作とは思えないなぁ。(初・三上洸、第6回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作)2012/01/05