内容説明
都会の公園で中年男性と五歳の少女が野球帽を被った男に刺され重傷。恨みか、通り魔か?―今はいつ自分がこんな事件に巻きこまれても不思議ではない時代。死んだ少女の父は銀行を辞めてビラを配り、若い母は心を閉ざす。犯人を追う刑事は失踪した自分の妻をも捜している。事件によって傷つき、壊れ、再生する人と愛。人間が生きていく上で背負わなければならない悲しみが、自らのこととして共感と感動を呼び、胸に迫ってくる。第4回日本ミステリー文学大賞新人賞佳作受賞。
著者等紹介
菅野奈津[スガノナツ]
1966年茨城県生まれ。東北大学法学部卒業。東京都庁に勤務。退職後、小説を書き始める
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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たこやき
4
事件を中心として、壊れた家族、親と子の関係を描いていく。娘を喪い、妻との関係も壊れた銀行員・杉山。妻が失踪した刑事・上条。詐欺を働く男と、その家族。それらを描きたかったのは判るが、いまいち、掘り下げが不足しているように感じたのが残念。ただ、それでも、詐欺とかを含めて、色々とあった伏線を、強引に、であってもまとめあげたのは◎。2010/10/23
たふ
1
娘を殺された父親がわりかし淡々と事件を解明しようとする。心を閉ざす妻とも余り関わらない感じ。一方、担当の刑事は失踪した妻を大して追うこともなく、6年も仕事だけしていた。双方の家族が事件の解決とともに再生に向けて動き出す、というのがサブテーマなのだろうが…なんだこのおっさんたち、と思ってしまったらもう…。それぞれが妻を守るべき者というよりは、軽んじてるだけにみえて、それを女性が描く不思議の方がミステリー。2020/10/09
雪ダルマ
0
登場人物が一生懸命生きていているのに思った方向にいかないもどかしさ。古本屋さんで手に取ったこの本、併読しながらで時間がかかっちゃったけど、最後まで面白かった。話題本だから面白いとは限らないし、古本屋さんでホコリを被っているからつまらないとも限らない。反対に面白かったりするとすごく得した気分。2013/02/07
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