内容説明
生きた、愛した、戦った。女たちが命を懸けて守り抜いたものとは。魂の叫びが聞こえてくる。時代小説の名手が描く、荒れ狂う世に翻弄された七人の女性たちの濃密な24時間。
著者等紹介
木下昌輝[キノシタマサキ]
1974年奈良県生まれ。2012年「宇喜多の捨て嫁」でオール讀物新人賞を受賞。収録作『宇喜多の捨て嫁』は、直木賞候補となり、歴史時代作家クラブ賞新人賞、舟橋聖一文学賞、高校生直木賞、咲くやこの花賞を受賞。『天下一の軽口男』で大阪ほんま本大賞、『絵金、闇を塗る』で野村胡堂文学賞、『まむし三代記』で日本歴史時代作家協会賞作品賞、中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
199
木下 昌輝は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。カウントダウン歴史小説、戦国十二刻シリーズ第三弾は、戦国の女性達が主人公でした。 オススメは、阿茶『戦腹』&賛姫『醜愛』です。 https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/97843349150632023/01/09
いつでも母さん
150
戦国十二刻シリーズ?今度は女たちの24時間。木下さんが切り取った7人の阿修羅があった。ほぅ‥と背筋が凍るのは阿茶を描いた『戦腹』と賛姫の『醜愛』、そして義姫の『鬼妹』だった。ガラシャが怖い『殉妻』もなかなかにそう来たかと読んだ。戦国時代はどうしても漢たちに心は鷲掴みされてしまうが、男がいればどうしたって女もいる訳で‥実は女の方が強かだったりもするのはいつの世も同じか?(汗)2023/01/20
とん大西
122
木下さんらしい筆致といえばよいだろうか。超がつく有名どころじゃない彼女たちの戦国アナザースカイ(いや、そんな爽やかな節回しはフィットしないが)。知らない逸話も多く、興味深く読めました。賛姫と吉川元春の馴れ初めはなんというかなかなかな展開。物語を反転させる最後の捻りが効いています。伊達政宗の小説では必ず登場する義姫の仲裁話。手垢のついたエピソードも企みと妖しさに満ちた毒々しい世界に。いやぁ、アクが強いのなんの(^o^;)2023/03/06
あすなろ
112
木下氏の戦国の刻シリーズ3巻である。今回は女人阿修羅編である。そのテーマのとおり、怖い。元々我等男共は女性の掌の上で弄ばされている様な心地が現代においてもあるのだが、本書の時代設定はそれが戦国時代である。より一層その感が強い。迫る執念と怖さは一汐ではない。それが木下氏の独特の筆にて描かれている。そんな七人の女性の一日を描く短編集。2024/01/07
たいぱぱ
78
戦国の世を血で彩る局面を必死に生きる七人の女性たちの物語。愛するという情念は、優しさも愛おしさはもちろん、時には狂気をも産んでしまう。どの短編も素晴らしい出来映え。僕の歴史観の逆を突かれた細川ガラシャの『殉妻』では恐怖し、吉川元春の妻・賛姫の『醜愛』では木下流変化球に唸る。『祈刀』では諏訪勝左衛門の死後に知った想いに花と一緒に号泣し、『鬼妹』では伊達政宗の母・義姫の手腕に舌を巻く。僕の住む鈴鹿市を治めていた神戸(織田)信孝の母を描く『証母』は大傑作「宇喜多の捨て嫁」を思い出し、なんとも言えない余韻を残す。2023/03/12