内容説明
その怒り、その悲しみ、その絶望。なぜ殺人鬼が生まれたのか。児童虐待、子供の貧困、外国人労働者。格差社会の闇に迫る、クライムノベルの決定版!新大藪賞作家が、平成に埋もれた真実をあぶりだす!
著者等紹介
葉真中顕[ハマナカアキ]
1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家デビュー。ほかの著作に、『絶叫』(吉川英治文学新人賞候補・日本推理作家協会賞候補)、『コクーン』(吉川英治文学新人賞候補)、大藪春彦賞受賞作『凍てつく太陽』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
724
葉真中 顕は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、骨太の平成社会風俗クライムノベルでした。著者版、平成の『砂の器』かも知れません。装幀も哀しく美しいBlueでした。少し気が早いですが、今年のBEST20候補です。2019/05/13
ウッディ
646
戸籍もなく、平成の時代を生きた1人の男ブルー。幼児虐待、貧困、外国人技能実習生、バブルがはじけた時代の闇と世相をなぞりながら、殺人事件の捜査として、第三者の証言からブルーが何を想い、何をしたかが明らかになっていく。冒頭から葉真中さんの世界に引き込まれた。闇を背負って生まれ、闇の中でしか生きられなかったブルー、彼のした事は許されないが、彼こそ時代の被害者であり、彼の優しさが起こした事件であったのかもしれない。面白かったです。2019/09/19
のっち♬
633
平成と同じ寿命を生きた男と、彼を追う捜査陣の視点が交錯する構成。平成を感じさせる単語が次々と繰り出されつつ提供される情報の采配は絶妙で、堕落した大人たちの深く渦巻く闇の中、まっすぐなBlueが読者を惹きつけてゆく。終始まわりくどい説明が入る部分もあるが、持続するスピード感と構成力に唸らされる。語られる彼の背後には、貧困、無戸籍、外国人労働者の低賃金などの社会問題が浮かび上がるが、中でも焦点を当てているのは児童虐待だろう。平成のノスタルジーで片付けられない、社会の普遍的な歪みが生み出す負の連鎖がそこにある。2019/09/16
ミカママ
607
【KU】子どもが関わること、読後感がよくないことは読メのレビューで知っていたが。児童虐待や無国籍子などさまざまなテーマを、平成三十年の世相に絡めて綴られた作品。普通だったら「風呂敷拡げすぎ」と感じるところだが、問題への向き合い方がとても自然だったのが好ましい。平成始めにはすでに海外へ出ていたわたしなので、流行曲にはまったくついていけなかった(しかもそれらが重要なキーとなる)が、事件・自然災害についてはネットでフォローしていたので、それをなぞる意味で楽しかった。構成もよろしい。2024/05/28
Yunemo
556
平成30年間の社会裏面史と捉えて接することができました。ずっと埋もれ続けてきた現実が表現されてます。結局は格差社会がこの30年間で確立してしまった、とは言い過ぎかもしれませんが。児童虐待、今まさに現実問題として政治の世界に浸透、法改正がなされてます。もう一つ外国人労働者問題、どうにも不可解なまま施行されましたが、問題を孕んだままの施策が10年後、令和10年にはどうなっているのか、ちょっと戦慄を覚えるところもあって。最終までその存在が分からなかったブルーの生き方が必然なのか、この生き様がよく理解出来ぬまま。2019/05/02
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- 和書
- 夜明け - 上野芳久詩集