出版社内容情報
世界的な動向を紹介しながら,美術館・博物館が所蔵する朝鮮や中国由来の「返すべきもの」について考える.
内容説明
あるものは不法に、あるものは合法的ではあるが不当に…近代以降の日本には、占領地や植民地から様々な文物が持ち込まれた。文化財返還問題をめぐる世界的な動向を紹介しながら、未だ私たちの身近に残る朝鮮半島や中国由来の文化財について考える。
目次
1 戦後処理としてはじまった日本の文化財返還
2 国際法と先住民族
3 負の遺産から正の遺産へ
著者等紹介
五十嵐彰[イガラシアキラ]
1961年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了。第2考古学(考古学方法論など)。公益財団法人東京都スポーツ文化事業団東京都埋蔵文化財センター主任調査研究員、慶應義塾大学非常勤講師、韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議世話人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オサム兄ぃ
6
帝国主義時代の植民地期や戦時に武力などで不当・不法に持ち出された略奪文化財について「何を、どこに返還するのか」を考えるためのコンパクトな入門書。欧米ではナチスドイツの負の遺産として知られており、「黄金のアデーレ」などの商業映画にもなっている。ところが自国の問題となると「一つ返せば次から次へと要求されてきりがない」という恐怖感からか、その存在自体に認知が広がらないように思う。「返すべきものを返さずに、いつまでも後ろめたさをひきずっている」状態の解消に向けて、この小冊子を議論の起点とすべきであろう。2019/11/15
ふくまるちゃん
1
「歴史認識」が重要なポイントになってくるこの問題。 これって、大まかにふたつの意見があると思うの。 こちら意見も、あちらの意見も、しっかり受け入れて、それでいて自分は自分で思考停止しないようにしていきたい。2021/05/22
たろーたん
0
「あるべき〈もの〉を、あるべき〈場〉へ」の文化財返還問題。しかし、あるべきもの」とは何か?「あるべき場」とは何か?と色々と難しい。また、完全に白の問題ないモノと完全に黒の問題あるモノの間のグレーなモノも多い。「休息するヘラクレス」「小倉コレクション」という事例も知った。2024/09/04
ヨシオ・ペンギン
0
感情論としての返還要求と、歴史的な実証と、歴史の認識が複雑に絡み合った問題として文化財の返還問題は存在しているのだなと。2020/01/17