内容説明
猛吹雪の夜、図書館に少年がひとり取り残された。暖房機が壊れ、極寒の館内。突然現れた謎の男は少年を救い、やがて大切なことを伝え始めた―。(表題作)一九三一年の満洲。大連のダンスホールで働く千春は、内地からの旅行者らしき青年に恋をする。彼には、胸に秘めた危険な計画があるようなのだが…。(「傷心列車」)時を旅する者たちの数奇な運命を描く全六編。
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950年、北海道生まれ。’79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。’90年『エトロフ発緊急電』で、山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞、’10年『廃墟に乞う』で直木賞を受賞。’17年には日本ミステリー文学大賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Roko
29
「遭難者」は、たぶん聖路加病院へ運ばれたのでしょう。そこの医師が語る物語に引き込まれてしまいました。どの物語も、タイムトラベルによって引き起こされたものです。その時代へ行こうとして行った人もいれば、偶然にその時代へやって来た人もいます。元の世界へ戻れた人も戻れなかった人もいます。「傷心列車」の彼は、タイムトラベルしてまでやりたかった仕事は上手く行かなかったけれど、彼女との約束は守りたかったのです。この後、どうやって生き延びていったのか?それとも?なんて思いました。2023/07/19
ちょん
25
「僕だけがいない街」でタイムトラベラー系を読みつつ、こっちのタイムトラベラーも読んでました✨これもまた切ない。上手くいったのかいってないのか!なんとも歯がゆさが残るタイムトラベル。時代背景が難しいところのチョイスだったのですが短編だったので1話1話読みやすく何とかついてけた✨2023/06/21
ロマンチッカーnao
20
時空を超えるSFなんだけど、読んでる感覚は第二次世界大戦の時代物を読んでる感覚。六編すべて薄暗い時代が読んでいて伝わってくる。背筋がゾワッとする話も、心温まる話もあるけど、その薄暗い時代感を全部に感じた。最後の二篇、追奏ホテルと傷心列車は特におもしろかった。この作者他のも読んでみたい。2023/11/04
ぷにすけ
20
作者にしては珍しいSFモノ。しかも時間旅行者、タイムトラベルもののとあって興味深々!心があったまるものや、ホラーものと6つの短編集でしたが、6つの作品に特につながりがないのが少し残念。おススメは「追奏ホテル」でした。2023/08/15
かつおさん
18
タイムスリップものの短編集。各話ともアイデアは悪く無いと思うのだが、短編であるがゆえかどれもが練れていないというか動機が希薄というか中途半端感が否めず。「世にも不思議な…」系で使えるネタかも。いくつかの話は若干、ファンタジー感もありいい感じは出ているのに、例えば各話がどこか何かで繋がっているとか一捻りあると読み応えがあったかもしれない。残念です。2023/07/10