内容説明
吉原会所の裏同心神守幹次郎にして八代目頭取四郎兵衛は、九代目長吏頭に就任した十五歳の浅草弾左衛門に面会した。そして吉原乗っ取りを目論む西郷三郎次忠継が弾左衛門屋敷にも触手を伸ばしていることを知る。一方、切見世で起きた虚無僧殺しの背後に、吉原をともに支えてきた重要人物がいることに気づく幹次郎。覚悟を持ち、非情なる始末に突き進んでいく。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年北九州市生まれ。闘牛カメラマンとして海外で活躍後、主にノンフィクション作品を発表する。’99年初の時代小説「密命」シリーズを手始めに、次々と時代小説を発表。文庫書下ろし作品のみで累計6500万部突破の快挙を成し遂げる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
86
吉原裏同心の最新刊です。主人公が八代目の頭取と裏同心の役を着るものできちっと分けているようです。一人二役を厳密に分けようとしていますが若干無理があるような気がします。今回は若い浅草弾左衛門との面会で手を握ります。そこからの情報などで吉原乗っ取りをたくらむ御側用人を排除します。また吉原の大籬の隠居した人物が吉原に影響を持ち続けようとして画策することにも対応しなければならずかなり忙しいようです。どこかですっきりと終了させてくれるのでしょうか?2023/03/20
やま
63
官許の遊里吉原の運営に携わる四郎兵衛会所の八代目頭取・四郎兵衛に就任した神守幹次郎は、八代目頭取・四郎兵衛と、示現流と眼志流居合の遣い手の裏同心のひとり二役で活躍する物語です。この一人二役が、どうも変である。が、物語は、吉原に降りかかった問題を解決しながら新しい建屋の建設を進める四郎兵衛の姿を書いています。2023/06/03
はにこ
42
新しい吉原を作るために奔走する一人二役。色んな横槍が入って大変ですなぁ。特に、元四郎左衛門に下す決断は断腸の思いであったでしょう。吉原に今まで貢献してきた元四郎左衛門。幹次郎とも昵懇だったのにねぇ。何故という気持ちが拭えない。まさに老害だったね。さて、吉原に本当の安寧の日々は訪れるのでしょうか。2023/09/02
蒼
29
吉原の大店三浦屋の八代目、隠居後なおも吉原を牛耳ろうとする姿が現役だった頃の理知的にも思えた姿とかけ離れていて、違和感を感じ幹次郎によって八十八ヶ所巡りに追いやられる姿が哀れ。いかに吉原会所七代目と両輪の輪となって吉原を取り締まってきたとはいえ、老いてただの亡七になってしまったのか。せめて一番札所からの文が三浦屋九代目と幹次郎の元に届くようにと願いページを閉じた。2023/08/04
蒼
23
再読だった事に途中で気がつくも、詳細を忘れていたため読了。そしてやっぱり加門麻を好きにはなれない。まぁそれは自分が現代の心を脇に置いておく事ができないからだろうと思うが。汀女姉様の心を読みたくて仕方がないが、作者様は詳らかにしてくれることは無いのだろうな。2025/06/04
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