内容説明
外国人娼婦殺害の現場に、植物防疫官の甲屋が割り込んできた。日本の稲作を壊滅に追い込む害虫「火の蛹」が、殺された女性によって南米から持ち込まれたというのだ。鮫島は甲屋とともに、娼婦殺害に関わるイラン人の行方を追う。その男は、鮫島が内偵を進めていた窃盗グループの一員でもあったのだ。放火、拉致監禁…。さらに燃え広がる事件に、鮫島が立ち向かう!
著者等紹介
大沢在昌[オオサワアリマサ]
1956年名古屋市生まれ。’79年「感傷の街角」で小説推理新人賞を受賞しデビュー。’91年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞、’94年『無間人形新宿鮫4』で直木賞、2001年『心では重すぎる』、’02年『闇先案内人』と連続で日本冒険小説協会大賞、’04年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞、’06年『狼花 新宿鮫9』で日本冒険小説協会大賞、’10年に日本ミステリー文学大賞、’12年『絆回廊新宿鮫10』で日本冒険小説協会大賞、’14年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
169
第5巻は、外国人娼婦殺害~ラブホテル連続放火~イラン人ギャングvs台湾人ギャングと往時の新宿らしい事件が絡み合い、「稲の害虫」まで追いかけるテンコ盛りの内容の上に、短い章で犯人目線が挿入され、中盤まで「何が何やら!?」と混乱したが、それを狙っての構成とも思えた。植物防疫官・甲屋のキャラが鮫島を喰ってしまう程に良く出来ていて、二人がコンビを組むのも面白かったし、畑違いの消防官との交流も興味深かった。物語自体は強烈な印象は残らなかったが、巻が変わる毎に趣向も変えてマンネリを避ける、著者のサービス精神を感じた。2020/06/11
ゆいまある
86
まて。設定が入り組んでる。連続放火犯がいて、たまたま放火事件の現場近くで殺されたコロンビア人がいて、つまり殺人者がいて、コロンビア人の恋人のイラン人が窃盗団に関わってて中国人グループと対立して、殺された女性の一人がコロンビアからやばい害虫を持ち込んでいて、だからそれを抑え込む農水省の役人がいて、何故かその役人が鮫島の相棒になって、で、窃盗団も放火も殺人も全部鮫島が捜査して。いや、なんでボヤの捜査まで鮫島がすんの?女装する男性の書き方はこの時代にしては良いのが驚き。2021/09/21
セウテス
81
【新宿鮫シリーズ】第5弾。今回は、南米から持ち込まれた害虫が、蛹から孵る前に発見するというタイムリミットの設定が珍しい。よって外国人娼婦連続殺人事件とホテル放火事件が、どの様に係わるのかいつも以上に興味を惹かれた。今回コンビを組むのは、植物防疫官の甲屋であったが、この人物がたいへん魅力的であり、尚且つ心配させられる事となった。シリーズの強敵となりそうな人物の初登場があり、中々謎を残す展開で楽しみは増えた。しかし、本シリーズは犯人当てが主体で無い分、肝心の殺人犯や放火犯が小者過ぎては緊張感には欠けると思う。2022/08/28
タツ フカガワ
59
盗品密売をめぐる中国グループとイラン・グループの抗争、ラブホテル連続放火、外国人街娼を狙った連続殺人事件と、新宿歌舞伎町で事件が多発するなか、鮫島は農水省植物防疫官・甲屋と出会う。甲屋によれば数日前に入国したコロンビア女性が持ち込んだなかに稲を食い荒らす害虫のさなぎが混入、放置すれば数年後、日本の米は壊滅的被害を受けるという。散らばった事件の数々が背景も含めて細やかに描かれ、終盤次々と解決していく構成の妙がお見事。が、なにより一匹狼の鮫島が初めて相棒として組む甲屋との意外なほど相性の良さが面白かった。2025/02/20
びす男
49
娼婦の連続殺人と連続放火。その裏で広がる蛹の危機。消防、警察、検疫。状況を打開する3人の仕事人の姿が痛快。2016/02/03