内容説明
全米チャンピオン牛の栄誉に輝いたというのに、シーザーの命はまさに風前の灯。飼い主で大衆レストラン・チェーンの経営者トマス・プラットが、店の宣伝のためにバーベキューにしようというのだ。そこへ呑気に迷い込んできた巨漢探偵ウルフと彼の右腕のアーチー。周囲の猛反対をよそに、セレモニーの時間は刻々と迫っている。ところが厳重警戒の牧場で、一頭の牛と反対派の若者の死体が発見された。ウルフは謎のパズルをつなぎ合せようと…。
著者等紹介
スタウト，レックス［スタウト，レックス］［Ｓｔｏｕｔ，Ｒｅｘ］
１８８６‐１９７５。インディアナ州ノーブルズヴィルに生まれる。２度の結婚、３０回もの転職を繰り返した後に、創作活動を始め１９３４年に『毒蛇』で作家としてデビュー。ここにいまなお、アメリカでもっとも愛されている巨漢のグルメ探偵ネロ・ウルフが誕生した。以後１９７５年の遺作となった『ネロ・ウルフ最後の事件』まで、シリーズ長編、中編集は５０冊近く書き続けられた。ＭＷＡ会長も務め、’５９年にはＭＷＡ賞巨匠賞、『ファザー・ハント』でＣＷＡ賞外国作品賞も受賞した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
73
探偵ネロ・ウルフシリーズ第６弾〔再読〕。蘭の品評会へアーチーと車で向かう途中、農地のど真ん中で立ち往生してしまう。助けを求めた先に、全米チャンピオン牛のシーザーが居て、そこで事件に巻き込まれてしまう。そうです、タイトルのシーザーとは牛の事です。ハッキリ言って、本作はシリーズ物ならではの作品であり、アーチーの恋人になるリリー・ローワン初登場の物語です。ネロも外で走り、アーチーもいつもとは違う本シリーズを良く読まれている読者への、プレゼントの様な作品です。巻末にある解説に「最後の事件」のネタばれ在り、注意。 2018/06/06
のざきち
16
ネロ・ウルフシリーズ第六作。蘭の展示の為車でクロウフィールドを目指すウルフとアーチー。途中車のトラブルに遭い二人は近くの農家に泊まることになるが、その家は隣家と一頭の牛（その名はシーザー）をめぐり対立していた。その夜隣家の息子が牛の角に刺されたように死亡。その後「容疑者」のシーザーも急死してしまう...ウルフがNYの事務所外で事件を調査するのは異例。フリッツやクレイマー警部などお馴染みのキャラの登場はないが、ウルフとアーチーの掛け合いも安定の面白さ。リリー・ローワンが初登場するのも興味深い。2020/10/31
カーゾン
9
M:蘭の品評会出品のため外出した出先で巻き込まれた殺人事件の解決を依頼されたウルフとグッドウィン君の探偵譚。クレイマー以下の警察陣やソール・パンザーらのフリーランスも出て来ないし、謎も小粒ではあるが、リリー・ローワン初登場でウルフのアクティブな面も見れて楽しめた。小生は当作品を旧版で読了かつ「ネロ・ウルフ最後の事件」も読んでいたので良いけど、解説で犯人をばらすのは原稿チェック時点で編集担当者がストップさせるべきだよな。2023/07/15
Ribes triste
9
全米園芸品評会に自慢の蘭を出品すべく出発したネロ・ウルフとアーチー。ところが農地のど真ん中で自動車事故を起こし、立往生することになった二人は、全米チャンピオン牛、ヒッコリー・シーザー・グリンドンにまつわる大騒動に巻き込まれるのでした。相変わらずワガママ放題の愛すべきウルフと、有能だけどちょっとチャラい助手アーチーの丁々発止に大笑い。ウルフの推理も冴え渡り、最後まで楽しく読めました。2017/01/11
＊＊くま＊＊
8
タイトル見てどんな硬派な歴史大作なのかと思ってたら、なんとシーザーって牛の名前だった（笑）。ということで牛を中心に展開するミステリで、ミステリとしては評価が分かれるところかもしれませんが（私はわりと好き）、このシリーズの売りである爆笑トークは絶好調ですよ。魔性の女リリー・ローワンの登場で、狙われたアーチーが一体どうなることかと心配しましたが・・・。さすが基本的に冗談しか口にしない軽い男（でもとても有能）アーチー、すべてを軽～くさばき、受け流してくれてます（笑）。この明るさ、軽さが気楽に読めていいんです。2014/08/15
