内容説明
「人間の徳(アレテー)は、教えられるものなのか?」「ソフィストとは、そもそも何者か?」。若くて血気盛んなソクラテスは、アテネを訪問中のプロタゴラスのもとにおもむき、徳をめぐる対話を始める。しかし、議論は二転三転。次第に哲学的色彩を強めながら、やがて意外な結末を迎えることになる。プラトン対話篇、最良の入門書。
著者等紹介
プラトン[プラトン]
427‐347B.C.。古代ギリシャを代表する哲学者。アテネの名門の家系に生まれる。師ソクラテスとの出会いとその刑死をきっかけに哲学の道に入り、40歳ころには学園「アカデメイア」を創設して、晩年まで研究・教育活動に従事した。ソクラテスを主人公とする「対話篇」作品を生涯にわたって書き続け、その数は30編を超える
中澤務[ナカザワツトム]
1965年生まれ。関西大学文学部教授。古代ギリシャ哲学を中心に、哲学・倫理学の諸問題を幅広く研究する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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molysk
75
ソフィストは、古代ギリシャでアレテー(ものが持つ固有の優れた性質)の教授を職業とした人々。アレテーは教えられるのか?否とするソクラテス。是とするプロタゴラス。では、知識や勇気といったアレテーの間の関係は?異なるとするプロタゴラス。ソクラテスは、勇気は恐ろしいものとそうでないものを計量する知識であり、同じものと論破する。だが、アレテーが知識であれば、教えることは可能ではないか?矛盾したソクラテスの結論は、知恵がない事の自覚へと至る。これがアポリア(行きづまり)であり、新たな探求への誘いでもある。2020/06/22
マエダ
63
哲学者ソクラテスとソフィストの大物プロタゴラスのアレテーをめぐる対話の様子を書いた本書であり、プラトンの作品の特徴は「対話篇」と呼ばれる独特のスタイルにあるという。”哲学とは、紙の上に書かれた既成の理論や学説のことではなく、問題を批判的に考察して真理を探究していく知的営みそのもの”哲学書も読まねば2016/02/07
ヴェルナーの日記
55
プラトンお得意のダイアログ(対話)形式で執筆されている。ソフィストの大家プロタゴスとの対話なので、冒頭はシミニニデスの詩に対しての解釈から始まる。ソフィストは基本的にレトリック(修辞)を根本とするがゆえに、文章表現から弁証法に長けている。そのためデマゴーグ(扇動家)というレッテルが貼られやすい。そこでソクラテス(プラトンだが)は、詩の解釈よりより中身を重視し、「徳(アレテー)を教えることが出来るのか、否か」を主題に対話を進める。最後に至っても答えは出せていないが、これは読者に対する問いかけとなっている。2014/12/09
巨峰
32
プラトンが描くソクラテスとプロタゴラスによる対話篇。意外にも読みやすい文章ではじまるが、流石に内容は難しい。特に最終章。。その難しいところは巻末でしっかり解説されているので、私のようなギリシャ哲学を始めて読む人間には、ちょうど、いいような気がする。ギリシャ人のいうアテレーすなわち徳のようなものを中心に対話は進む。解決するべきなのは、意味ではなく、思考の経路なのだ。2010/12/21
壱萬参仟縁
25
アテネ。 ソクラテスとプロタゴラスの徳(アレーテー) をめぐる対話(9頁)。 知識人がアテネ人に啓蒙、進歩的教育を 施したソフィスト(10頁)。 教養教育(パイデイア)は読み書き、 竪琴、体育が3本柱(29頁)。 文武両道+音楽か。 正義(ディカイオシュネー)は道義心。 節度(ソーフロシュネー)は謙譲心(67頁)。 字を覚えるが如く、 法律というまっすぐな線を下書きし、 支配の際に法に従わせる。 はみ出れば国が罰を与える(76頁)。 2014/06/04