内容説明
天保十三年の夏が過ぎた頃、夏目影二郎は、筆頭大目付となった実父・常磐秀信から遍路旅に誘われた。伊豆へと向かった影二郎一行は、途中、怪しい修験者の一団や野猿の群れ、さらには偽遍路の七人集と次々に対決する。札所を巡って下田を目指す父子旅に、謎の煙草売りが同行。やがて、千年の闇より這い出てきた異形の難敵・刑部鵺女一統が襲いかかってきた。
著者等紹介
佐伯泰英[サエキヤスヒデ]
1942年、北九州市生まれ。大学卒業後、闘牛カメラマンとして海外で活躍後、主にノンフィクション作品を発表する。’99年、初の時代小説『密命』シリーズを手始めに、次々と時代小説を発表。2007年6月、時代小説通巻百冊の偉業を成し遂げる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤枝梅安
7
影二郎は筆頭大目付となった実父・常磐秀信に伊豆への遍路旅に誘われる。用務繁多の折の旅を訝しく思う影二郎だが、愛犬・あかとともに同行することになる。伊豆山中で賊に襲われたり、妖怪に襲われたりしながら下田に向かう。父・秀信の旅には重要な目的があった。幕末へと転げ落ちていく時代の流れを象徴するような混沌とした展開と急転直下の結末は、読者に安心感を与えることなく、次作への期待を募らせる。2010/08/27
天笑院たか姫
4
シリーズ第十弾!影二郎は、父・秀信から伊豆への遍路旅に誘われる。旅の途中。怪しい修験者の一団や野猿の群れ、異形の刑部鵺女一統が襲いかかってきた!またもや、妖怪の鳥居の邪魔が入る。2016/12/19
てんぱい
3
今回は旅は旅でもお遍路。それも父親の秀信と一緒。四国ではなく伊豆のお遍路はこれまで目にした事がなかったかも。前半、親子がお遍路で見せる会話がなんとも心地よい。そしてシリーズ当初に比べ秀信が見違えるよう。余談だが、以前NHKで放送していた「陽炎の辻」が佐伯さんが原作だったらしい。面白くて、よく観ていたのに全く気づかなかった。2011/07/10
ベルるるる
1
鵺という平家物語にも出てくる妖怪登場。 現代と違って、山道なんて昼間でも薄暗かっただろうし、夜ともなれば、真っ暗だし、風の音でさえ怖ろしく聞こえただろうから、妖怪がいたと信じてもなんの不思議もない。 さて、今作の影二郎の父親の立場は、どう解釈すればいいのかな? 幕閣の一人として、この時代をどう生きるかは、本当に難しい選択だろうけど、水野忠邦との関係を思うと、これからどうなるのか気になる。 2014/08/15
しのさん
1
ますますおどろおどろしくなっていく。開国派の会議は成功するのか。2013/12/27