内容説明
大和の地に巨大な古墳が出現した。それは突然に何の前触れもなく…だったのか?今は深い森におおわれ、濠の水面に穏やかな姿を映し出している古墳。しかし古墳時代の人々が目にしていたのは、強権を象徴する堅固な砦のような古墳の姿に他ならなかった。その姿にどんな意味が隠されているのか?その古墳をどのように築き、そしてなぜ古墳築造をやめたのか?古墳研究50余年の筆者が、常識を破り、大胆に古墳築造とその時代を読み解く。古代史はますます面白い。
目次
第1部 新時代の幕開けと古墳築造
第2部 古墳謎事典(古墳の形と移り変わり;古墳の造り方;古造築造を支えた規格;古墳の設計;古墳の中;古墳をめぐる施設;測量図をめぐって;岩屋山古墳の謎;祭祀の跡;破壊された古墳;記・紀と古墳;天皇陵埋葬者の謎;藤ノ木古墳の埋葬者;三角縁神獣鏡と景初四年の鏡;鉄剣の謎;馬の墓と騎馬民族説;埴輪と立物;洞穴&岩陰遺跡;韓式土器と渡来人;古墳調査の意味;古墳年代の決め方;黄門とゴーランド;仁徳天皇陵発掘)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Risa Shimowada
2
最高に面白かった。古墳初学者には最適。 柱と縄での古墳の設計方法、古墳の作り方、濠の土を古墳に盛った築造方法、古墳築造時は葺石と埴輪で覆われて現在のような森様ではなかった点、などなど。古墳を見に行って疑問に思った点がクリアになったのと、思っても無かった知識が得られた。写真も豊富で分かりやすいし。 著者の堅田氏の古墳への情熱が伝わる。 島根の猪目洞穴遺跡は行ってみたいなあ。あとで調べたら黄泉の国の入り口らしい。 知識を定着させるためにもう一度読みたい。2013/10/28
Takashi
1
これほど面白い古墳の概説書はないのではなかろうか。古墳がどのように造られたか、ここまで具体的に説明を加えた類書はいまだにない。小生が最も大切にしてきた古墳概説書のひとつ。本書があまり周知されていないことが不思議でならないし、知識を並べただけのずっと低次元な類書の方が評価されているのを見るにつけ、まことに不可解だ。古墳に関心のある方にもっと広く読んでほしい本だ。2014/02/16