内容説明
本書を、眠れぬ人、眠りたい人、睡眠に興味を持つ人、夢に興味を持つ人、寝ること(横たわる意味の)が好きな人に捧げる。編者自身も、なろうことなら1日中寝ていたい怠け者である。サラリーマン時代には、朝、起きることができず困った経験がある。さらに大学時代の卒業論文のテーマは夢であった。本書を編集する資格のある人間ではないかと思うがいかがであろうか。
目次
HOW TO SLEEP(ベンチリー・浅倉久志訳)
堀たゑ子様へ(北畠美代)
睡眠誘導術(安部公房)
不眠症(星新一)
ねむる(三木卓)
眠られぬ夜のために(序言)(ヒルティ・小池辰雄訳)
睡眠(山口瞳)
寝る方法(筒井康隆)
睡眠について(『随想録』より)(モンテーニュ・関根秀雄訳)
意識のたそがれ(島崎敏樹)
木曽宿にて(井上光晴)
冬眠(金子光晴)
ごろ寝の楽しみ(チェスタトン・別宮貞徳訳)
眠りについて 食飼の休息睡眠および夢に及ぼす影響(サヴァラン・関根秀雄・戸部松実訳)
ねむい(チェーホフ・神西清)
眠れる人(堀辰雄)
ゆたかな眠りを(生島治郎)
夜明かしする人、眠る人〈第2章〉(デメント・大熊輝雄訳)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
n.k
11
眠れない夜なんてただただ辛いだけだと思っていたけれど、そんな夜を「人間に不足している、生活反省のための静かな妨げのない時間」だと言っていて衝撃的だった。「限りなく多くの人々が、その生涯の決定的な見解や決意を実に眠られぬ夜に見出したであろう」色々考えてしまって寝付けない夜に、この言葉を思い出そう。2023/08/13
ゆきえ
8
いろいろな睡眠についての本。三木卓の眠りが自分と一番近いような気がして、ちょっと嬉しかった。あとは金子光晴や、堀辰雄なんかも割りと面白かった。自分と眠りのパターンや睡眠障害で悩んでいる人の体験を読むと、ふーん、と感じたり、時にはいらいらしたりもした。枕を新しく買ったので、今日からよく眠れるといいな。眠れるはず!二十歳の時にストレスで不眠症になったので、そろそろ睡眠障害は克服したい。2015/09/26
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
4
昭和63年 2月20日 初版。「不眠症」収録。2016/06/12
kaz
2
睡眠に関するアンソロジー。本書を始め氏の「異形の白昼」「12のアップルパイ」「人間みな病気」といったアンソロジーでは、収録作品の多彩さが大きな魅力。だってこれモンテーニュやチェーホフ、堀辰雄などが並ぶ中、しょっぱなが映画ですよ映画!どう収録しているかは実際に当たってもらうとして、オススメはやはり氏自身による抱腹絶倒の「寝る方法」。なお、本書は不眠症の方向けのハウツー本ではない(「寝る方法」どおりにしたら違う意味で寝込む)ので実用性に欠けるところがあり、僕は夜更かししてこれを読み、感想を書いている。2018/09/18
嫁宮 悠
2
筒井康隆・編の、眠りをテーマにした小品集。18の小品に加え、筒井康隆氏による各小品へのコメントもあり。これがなかなか面白い。星新一の「不眠症」は、さすがショートショートの名手と唸らせる、安定の面白さ。筒井康隆「寝る方法」は礼儀作法講座のパロディという、真面目にふざけた調子が笑いを誘う。チェーホフの「ねむい」は初読だったが、衝撃的なラストに驚愕(チェーホフってこんな作品書く人だっけ?)。ヒルティの「眠られぬ夜のために(序言)」は小難しくてただただ眠気を誘う。2015/05/04
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