出版社内容情報
鎌倉独特の佇まいの形成過程を、古代から現代まで、都市鎌倉の歴史を辿ることで明らかにする。通史としての「都市鎌倉」を見る。
内容説明
「武家の古都・鎌倉」が世界遺産として認められないのはなぜか―都市鎌倉の通史からその実像を見る。
目次
第1章 紀元前~鎌倉前期―源氏以前、源氏以後(二万年前から鎌倉には人がいた;縄文時代の集落 ほか)
第2章 鎌倉中期~室町後期―北条の都から戦国の鎌倉へ(都市鎌倉を整えた北条泰時;将軍御所の移転 ほか)
第3章 近世―観光名所化する鎌倉(鎌倉に殿様はいなかった;近世の「鎌倉中」 ほか)
第4章 近代―幻想の古都(神仏分離と寺院の困窮;海水浴場と保養地 ほか)
著者等紹介
高橋慎一朗[タカハシシンイチロウ]
1964年、神奈川県生まれ。東京大学史料編纂所教授。東京大学文学部国史学科卒業後、東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本中世史、都市史。神奈川県立湘南高校在学中から古都鎌倉の魅力に親しむ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
71
鎌倉殿関連はつい読んでしまう。 都市鎌倉の歴史。 武士の都、と言っても、古いものがそのまま残っているわけではないので、世界遺産指定からモレタんだよ、ということか2022/09/22
活字の旅遊人
42
鎌倉は魅力的な街。高貴な人が住む観光地っていうイメージであり、実際個人資産の残高が多い支店があったはず。さてしかし、古都として考えた場合、見所は? となると頼朝の墓すらひっそり佇んでいるだけな感が強い。今年はブームかもしれないけど。そんな鎌倉の謎にせまる歴史のお話。自分的には知りたかったことが結構書いてあって楽しめた。鎌倉市の小中学校では郷土史としてどこまで学ぶんだろう? そして金沢八景、江ノ島がセットになった江戸最寄りの観光地。なるほど、行政区分や交通網が、特に金沢八景と鎌倉とを分断したんだなあ。2022/07/05
榊原 香織
37
鎌倉行きの電車の中で予習(復習?)2023/02/21
いーたん
21
日本人にとって違和感なく古都のイメージがえる鎌倉。なのに、武家の古都・鎌倉がなぜ世界遺産になれなかったのか?なぜならば、日本人は想像のなかの鎌倉を愛し続けてきたからーという著者は、鎌倉の通史を丁寧に紐解いていく。鎌倉時代の建物を火災や戦で失い、政治機能を失い、観光都市としていきている鎌倉。その歴史的脈絡を知らずして、鎌倉の魅力は見えてこない、という。なるほど。2022/06/01
LUNE MER
20
鎌倉観光の前に是非とも読んでおきたい一冊。鎌倉と聞いてイメージする街並や史跡が実際のところいつの時代のものなのか、そもそも実際の史跡なのか観光誘致目的の盛りなのか、等々がきれいにまとめられていて、何度も鎌倉に足を運んでは旧跡をあちこち散策してきた自分も中の鎌倉もかなり補正された。また、市内各所で目にする明治・大正期の石碑は実に有難く、その佇まい自体が文化財というオーラを発しているのだが、その整備経緯まで記されており、先人への感謝と敬意の気持ちが湧き出てくる。2022/08/12