出版社内容情報
20世紀前葉からはじまる「現代写真」の系譜を、日本を代表する写真家たちの肉声を頼りに、芸術作品や論考などを参照しながら解説。
内容説明
報道写真から現在まで流れを一望。彼らは何を模索し、何を語ってきたのか。
目次
第1章 土門拳と植田正治
第2章 東松照明と森山大道
第3章 荒木経惟と須田一政
第4章 杉本博司とマルセル・デュシャン
第5章 佐藤時啓と森村泰昌
第6章 畠山直哉と九〇年代以降
終章 オルタナティブなまなざし
著者等紹介
圓井義典[マルイヨシノリ]
1973年大阪府生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科教授。専門は写真制作、写真表現史、写真論。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業、東京綜合写真専門学校研究科修了。展覧会の他、写真やアートにかかわる論文やエッセイを多数執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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榊原 香織
64
写真だけではなく現代芸術の流れもザっとわかるように書いてある良書(ただ部分的ではある) ”写真は舌足らずでありながらとてつもなくおしゃべり”by名取 アラーキーの言葉は面白い。 木村伊兵衛写真賞受賞者一覧を見て、1989年、木村花と星野道夫が同時に受賞してるのが感慨深い2022/07/23
rokubrain
13
芸術家たちの苦悩の歴史が見えてきた。 苦悩は外側の人間から見ると敬遠したいものだが、 実は内面的にはそこに精神哲学が生まれる源泉がある。 人間にしか持ち得ない魅力的な資質といえそうだ。 伝統のある芸術と新興の写真の表現力の相克。人間が伝統の柵(しがらみ)から解放されていく過程で、”時代の精神”を感じ取っていった歴史でもある。 圓井さんのいう歴史観、価値観ということばが、本書を読み解くカギですね。「今、ここ」を解釈する力も重要。2022/08/15
kana0202
3
取り上げられているトピックは少ないが、著者がよく考えながらわかりやすく書こうとしており好感が持てる。多くの言説をひとまとめにしがち(わかりやすさの源でもある)ので、原点にあたるなり、自ら考えたりするなかで、新しいことを考えられそう。そう詳しくないが興味あるという人にちょうどいい良書。2023/05/03
Toshiyuki Marumo
3
現代写真史の背景として近現代の西洋美術史についての分かりやすい見取り図が描かれている。純粋に日本現代写真史について知りたい読者は少し戸惑うかも知れないけれど、僕は頭の整理が出来てとても勉強になった。良書だと思います。2022/05/17
テン
2
ずっと写真は撮っていたけど歴史の流れを一切知らず、いまさら土門拳を知るところから始まり、中平卓馬展を見に行った時に買って、前半読んで、かなり時間をおいてしまいやっと読了。自分が、概念的なことを説明する文章にとにかく慣れていないことがわかった。2024/08/27