内容説明
一九五三年八月二十八日、初の民間テレビ放送局・日本テレビ放送網が開局して、テレビCMの時代が始まった。しかし、その草創期の姿はナゾに包まれ、これまでほとんど実態が分かっていなかった。本書は、そんな知られざる草創期のテレビCMについて、数々の発掘資料を駆使してその実態を解き明かそうとするものだ。ほとんど誰も覚えていないであろう、無名の発掘物たち。そこからどんな歴史が見えてくるのか?CM史研究の第一人者が、豊富な画像と分かりやすい解説で歴史に埋もれたテレビCMたちを現代によみがえらせる。平成から令和になったいま、遠ざかっていく昭和時代を正しく記憶するための一冊。
目次
第1章 最古のCMたち―アニメ編
第2章 最古のCMたち―実写編
第3章 今はなきCMたち
第4章 ちょっと気になるCMたち
第5章 伸びゆくニッポン産業―高度成長とCM
第6章 便利な生活
第7章 楽しい子どもたち―おもちゃ、お菓子、オマケのCM
第8章 外国と外国人
第9章 こんな映像もありました―お宝アラカルト
著者等紹介
高野光平[コウノコウヘイ]
1972年生まれ。茨城大学人文社会科学部教授。東京大学文学部卒業後、電通勤務を経て、東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究専攻博士課程修了。同研究科助手、茨城大学人文学部講師、同准教授を経て、2016年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
83
図書館で見つけて。テレビ放送が始まった当時のテレビCMを発掘し解説する。これは日本文化史でもあり社会史でもある。今では考えられないような商品のCMがあったり(なんと猟銃もある)、描かれるシチュエーションもビックリするようなものだったり。高度成長の中で工業や技術が礼賛されていたり。アメリカ統治下の沖縄用のCMがあったり。今まで見たこともないCMが画像も含めて紹介されていて、実際のCMを見たくなる。この時代を知るにはとても貴重な記録だと思った。もっともっと忘れられたCMはあるんだろうな。2022/01/18
佐島楓
72
古いテレビ文化に興味があるのでとても面白かった。ガス冷蔵庫とかまったく知らない……。CMアニメのキャラクターデザインのセンスなどはかえって新しく感じるような気さえする。購買意欲がシンプルだった頃の日本人の原点を垣間見られた。アーカイブス見てみたいな。2019/08/17
bura
57
読み友さんのレビューを見て。CMは時代を映す鏡だが、テレビ草創期に作られ倉庫に埋もれていた正に名もなきCMたちが昭和30年代の日本そのものを浮かび上がらせてくれる。タバコは勿論、紙コップジュース販売機や豆炭アンカ、果てはトランキライザーや猟銃まで!こんなCMがあったのか、と驚かされる。当時の人々の当たり前が今、こんなに貴重な映像として一冊の本となり語られる事が素晴らしい。映像データは同志社大学に保管され、一般公開はしていないのだが、願わくばアーカイブを開放して誰でも見れる様にして欲しい。2022/02/19
へくとぱすかる
54
フィルム制作だったために奇跡的に残された、草創期のテレビCMからは、まさに「三丁目の夕日」の時代の社会が浮かび上がってくる。戦後の日本は、ゆるやかに変化する社会が持続したように思いがちだが、このようにまざまざと見せつけられると、人々の考え方・感覚などは、全く入れ替わってしまったように感じる。別世界のようなものだ。初期のCFにフルアニメが多用され、CFが日本のアニメの発展に大きな寄与をしたことは、特筆すべき。2019/07/22
ホークス
53
2019年刊。草創期(1955〜65年)のTVCMには結局広まらなかったり、今は考えられない提案が様々あった。動画の公開は難しいらしいが、写真でも十分面白い。60才の私も知らないCMばかり。ほとんど考古学だ。今やレトロな食品自販機(サンドイッチ等)が最先端の扱い。雪印乳業はうどんや蕎麦にバターを入れるメニューを推奨。精神安定剤の市販品、警視庁による110番周知、電通の企業CMまであった。演出面では、意外に本格的なアニメーションが作られていたり、生放送と上手くつなげたりと興味深い。じっくり動画で見てみたい。2022/05/03