内容説明
「みんな」を求め、「みんな」に傷つけられた「わたし」は何処へ行く。
目次
1章 「みんな」って誰?(「みんなやっていることやないか!」;「赤信号」の法則 ほか)
2章 「みんな」の西欧思想史(法とは「みんな」の意志である;「みんな」による「みんな」の支配・全体主義 ほか)
3章 「みんなの責任」をどうするか?(「みんなの責任」の範囲;「自分で語ることのできない他者」への「責任」 ほか)
4章 「みんな」と「わたし」の物語(「みんな」から押し出された「わたし」;「わたし」が「みんな」から目覚める時 ほか)
5章 そして、「みんな」いなくなった!(「みんな」はいつまでも「みんな」なのか?;危ない時に出てくる「みんな」 ほか)
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学部教授。社会思想史・比較文学を専攻
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
10
仲正ですら、こんな本を書くことがあるんだと勇気が湧いた。読む必要はない。2017/12/31
Humbaba
8
みんなに責任があるからこそ、自分には責任がない。みんなの中には自分も含まれるので、責任は一部だけあるのだが、それを積極的に負うべきは自分ではない。責任を取らなくても良いことがわかっているからこそそこまで本気で取り組もうとせず、結果的に失敗に終わる。誰も責任を足らないのに、積極的に成功に導こうとするモチベーションは持てない。2015/11/10
Humbaba
7
みんなで相談すればそれだけよい結果が得られるとは限らない.それどころか,責任が分散されることから,一人ならば行わないような愚かな結論を出してしまうことすらあり得る.正しい判断をしたければ,責任を持って結論を下せる環境を作ることが大切である.2011/10/31
かみかみ
5
「赤信号みんなで渡れば怖くない」に代表される日本における「みんな」危うさについて論じる。いろいろな思想家の思想が引用されているが、オルテガ・イ・ガセットやスロースターダイクにおけるエリートを嫌い均質性(「みんな」と同じであること)を求める「大衆」との親和性について明かされる。これに加え匿名性を重んじるのも日本の「みんな」の特徴だと思った。2023/05/04
yamikin
5
みんなを嫌がる私という「みんな」が持ってる価値観。自分をみんなと一緒にすることで無責任になる「私」と、都合が悪くなるとみんなのせいにする私。自己分析してるみたいな読書感。ハイデガーを絡ませて言及するところが味噌。ドイツ語の概念分析から現代の無責任社会を糾弾する好著。著者の数多の新書のなかでも意外とトップレベルに面白くサクサク読める2010/12/22