内容説明
(1)なぜ、推古が女帝として即位しなければならなかったのか?(2)なぜ、聖徳太子は即位して大王(天皇)にならなかったのか?―本書は、これまでさまざまに議論されてきた二つの問題に、新しい角度から挑もうとするものです。ただし、聖徳太子の側からだけでこの問題を考えるのではなく、推古朝という、特異な女帝を生み出した時代を概観することで、聖徳太子が即位できなかった情勢なり理由なりを浮かび上がらせ、さらに、女帝推古の内面にまで立ち入って、思い切り想像の翼を広げています。
目次
第1章 美貌の王女と飛鳥朝廷(額田部王女の出自;穴穂部王子の暴虐;美貌の王女 ほか)
第2章 女帝誕生と馬子の思惑(大王候補者たち;王子たちの名前;額田部王女の即位 ほか)
第3章 厩戸の理想、額田部の執念(叔母の妬み;厩戸の年齢;馬子の気持ち ほか)
著者等紹介
中村修也[ナカムラシュウヤ]
1959年生まれ。89年筑波大学大学院歴史人類学研究科修了。現在、文教大学教育学部教授。博士(文学)。専門は日本古代史と茶道史。京都市歴史資料館勤務を経て、自称“京都観光案内人”
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
45
この時代の文献は日本書紀くらいしかなく、想像の範疇によるものが多くなってしまうのは致し方ない。聖徳太子がとった説に対しては、けっこうわたしはなるほどな、と思ってしまった。古代史も面白いですね。2015/06/12
kawa
26
推古天皇は自分の息子・竹田王子を大王に就かせたいがために画期的な女帝になった。一方、竹田のライバル・厩戸王子(聖徳太子)は大王になるつもりはなかった等々…、「日本書紀」の記述を鵜呑みにせず、独自?の推理と解釈を展開する。事の真偽は解りませんが歴史ミステリ-を読んだ気分で読了。2019/10/27
びっぐすとん
17
108円本。昭和生まれの私にとっては一万円札と言えば聖徳太子。大昔の偉い人というイメージだったが、歴史を習うと「なぜ天皇の王子で、母親の身分も高い優秀な大人なのに天皇にならないのか?」と基本的な疑問を持った。ずっとわからずじまいで、大人になってからは「聖徳太子は実在しなかった」という本まで出てきて益々謎だったが、この本はその疑問に頷ける理由が挙げられており、可能性のある話だと思った。お札の影響で親近感があったが、実際は詳しいことがなにも解らない、実像などわかるよしもない遥か昔の人なんだと改めて思った。2019/10/18
ユウユウ
3
実像がわからないからこそ興味深い2025/06/02
epitaph3
1
読みやすい。 史料絶対主義ではなく、想像をまじえながら、推古天皇、聖徳太子、蘇我馬子の姿をあぶりだす。 素直におもしろかった。 2008/11/20