内容説明
われわれが日々利用する電車、そして世界に類を見ない高密度輸送を行なう東京圏の鉄道は、誰がどのように管理し、支えているのか。国内最大規模の指令室であるJR東日本の東京総合指令室を取材し、紹介する。この指令室では、1日約1400万人を運ぶ東京圏の在来線輸送を管理しており、所属する500人余りの社員が、乱れたダイヤを回復させ、トラブルで停まった列車をなんとか動かそうと奮闘している。本書では、これまでほとんど紹介されることがなかった指令室の過去・現在・未来に迫り、東京や日本の鉄道の側面をかいま見る。
目次
第1章 指令室という職場
第2章 指令員の仕事
第3章 指令長に聞く
第4章 総括指令長に聞く
第5章 運行管理の今昔
第6章 東京圏鉄道の今後
著者等紹介
川辺謙一[カワベケンイチ]
鉄道技術ライター、交通技術ライター。1970年、三重県生まれ。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。化学メーカーに入社後、半導体材料等の開発に従事し、2004年に独立。高度化した技術を一般向けに翻訳したり、鉄道や道路を支える現場や当事者を紹介する活動を行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たかしくん。
40
この著書の最も言わんとしたことは、JRの中でも最も旧国鉄の官僚主義の匂いを残しているとみられているJR東日本が、とにかく「お客さま目線」に立つ姿勢を徹底、かつ、浸透していることではないでしょうか。でなければ、今年の「上野東京ライン」の開通、「南武線快速」の導入等はなかったかと思います。2015/04/18
Y2K☮
30
山手線の緊急停止ボタンが押された一件を見て思い出した本。ATOSなどの最新技術が導入されて駅員の負担が減ったことが「お客さま目線」に繋がったとか。素晴らしい。と同時に、時間通りに来るのが当然と考える我々の傲慢さが昭和の頃から変わっていないことが恥ずかしい。途中駅折り返しや振り替え輸送が確実に昔よりも増え、完全に動けなくなるケースは減った。頭の下がる企業努力。本書はJR東日本の総合指令室を取材したものだが、地下鉄派なので(葛西の地下鉄博物館にも行った)東京メトロに関する本もぜひ読みたい。直通運転に興味津々。2022/07/09
T2y@
29
指令室から、正確・快適な運行を日々守る、裏方皆さんの実録。 『ATOS』なる基盤システムはあるものの、人力・運用力と、「一駅でも走らせる」意識の賜物。 鉄道会社の『お客様目線』が全面に伝わってくる。トラブル処理業務は、なかなか評価がされにくい。我々利用者は、SNSなどを通じ、指令室と各駅員の努力に対して、感謝を伝える事も、時にやるべきだと思わされる。2015/03/31
saga
27
東京圏の鉄道輸送を電力、信号、転轍機から車両、人員の運用まで一手に引き受ける指令室。稠密運行が当たり前のJRの裏方として奮闘する司令員の皆さんは尊敬に値する。スジ屋と言われるダイヤ編成のプロがいることは知っていたが、それだけでは様々な障害に対応するできないことが本書を読むと良く判る。これだから鉄道は面白い!2015/08/09
Y2K☮
27
知らなくて御免なさいの一冊。国鉄時代の事なかれ主義から脱却した「お客さま目線」の意識改革が素晴らしいアイディアを生む。トラブル時の折り返し運転や振替輸送ひとつ取っても、裏には様々な人の決断と奮闘がある。車両のサイズを大きくしたり、より短い間隔で発着するなどして朝の通勤ラッシュも実はかなり改善されている。何かあった時にすぐ対応できるように、指令員は暇さえあれば「〇時〇分、〇駅で人身事故が起きて列車が〇分遅れたら」というダイヤ変更のシミュレーションをする。公の為に働いているという気概と責任感に頭が下がります。2015/04/17
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