内容説明
戦後復興期の昭和28年に国鉄に入社し、昭和35年に念願の車掌となる。その後、専務車掌に昇格し、退職する昭和62年まで「一車掌」として働き続けた著者による列車の中の昭和史。戦後復興期から高度経済成長時代を経て昭和の終焉へと至る時代の涙あり、笑いありの体験記録。
目次
第1章 少年期から国鉄就職まで
第2章 普通車掌編
第3章 専務車掌編
第4章 専務車掌の楽しみ!?
第5章 けしからん話
第6章 乗務間合いの過ごし方
第7章 あとがきに代えて―最終乗務の日
著者等紹介
坂本衛[サカモトマモル]
昭和10年生まれ。昭和28年に国鉄に就職し、吹田操車場、西宮駅、岸辺駅勤務を経て、昭和35年に車掌となる。昭和43年専務車掌に昇格。以後昭和62年まで車掌ひと筋の人生を歩む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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saga
56
国鉄最後の日をもって退職ということは、昭和62年なのだろう。それは昭和も終焉を迎える頃である。鉄道の車掌というのは、鉄道マニアにとって趣味と実益を兼ねた職業だと著者も言う。自分は車掌よりも運転士に憧れた。でも、旅好きでもあり、当時の車掌の乗務や、行った先での乗務間合を見ると、青森から九州・西鹿児島までを守備範囲としていた著者の生活は羨ましい。しかし、どんな職業でも嫌な面、過酷な状況はある。それを乗り越えられたのは「好き」ということか。2022/12/15
Mikarin
2
おそらくテツであれば、必読のマンガ「カレチ」の種本であったであろう1冊。良くも悪くも昭和時代と平成時代の仕事のやり方の差異が出てるのは注目だろうか・・・2015/05/31
Humbaba
1
車掌の仕事はそれ程人目につかないかもしれないが沢山ある.無論,普段であればそこまでおかしなことは起こらない.だが,一度変なお客に絡まれてしまえば,抜けるのは非情に困難になる.2010/06/10
ことぶき あきら
0
大阪車掌区に客扱専務車掌として勤務し、国鉄民営化の年に退職した著者による鉄道の思い出や仕事の話。著者自身鉄道マニアで、趣味と仕事が一致していたと。「鉄道マニアは、みな仕事以外の知識も豊富で、それに仕事の取組も真面目だから、幹部にしてみればマレにみる逸材、と勘違いするらしい」なるほど。文筆家ではないので、必ずしも文章は洗練されているとは言えない部分もありますが、大阪人らしいと思わせるセンスが光ります。一方で寝台特急「彗星」で就職のために九州から大阪に出る少年の話など、うるっとさせられるエピソードもありました2014/12/28
shm
0
まだ梅田貨物駅や吹田操車場や尼崎港線や日本海があった古き良き時代の車掌さんの半世紀。パターンダイヤの今からは想像つかない仕事。吹田に夜中に帰ってくる行路はルンペン行路、車掌はルンペン車掌、待合室はルンペン小屋。下ネタ少々。2013/09/22