出版社内容情報
メディアの中で子どもはどのような存在なのか?また両者の関係は?童謡、児童書、小説、マンガなどの分析を通して、日本の子どもの表象を浮き彫りにする。
人間関係が希薄になった現代において、子どもたちの現実に深く関わって「リアル」を演出するのは、メディアである。本書では、近現代の日本の出版物をいくつか取り上げ、メディアから透けてみえる子どもの抱える問題を多元的に論じる。
[関連書]
野上暁
『“子ども”というリアル─消費社会のメディアと“もの”がたり』 (パロル舎)
はじめに
童謡の系譜・序論………………………………………………………原 國人
一 子どもの喧嘩に親が
二 童謡の役割
三 名虎・能雄相撲の事
四 六波羅禿の運命
五 歴史の中のメディアとメディア・リテラシー
孝子貞婦の続き物と慈善活動…………………………………………甘露純規
――明治一〇年代を中心にして――
はじめに
一 明治の慈善
二 『芳譚雑誌』と慈善活動
三 新聞続き物と慈善活動
むすび
『小学生全集』と『日本児童文庫』の位置…………………………服部宏昭
――教育界の動向を手がかりに――
はじめに
一 両全集の軌跡
二 教育界の動向
まとめ
中学校教材としての「走れメロス」を読む…………………………髙塚 雅
はじめに
一 教科書に採録された「走れメロス」
二 結末の異同について
三 読者生成の問題について
四 「走れメロス」を魅力的に読むために
――殴り殴られるセリヌンティウス――
結びに
松本清張「武田信玄」、その再生産をめぐって…………………………鶴田武志
―― 一九五〇年代を中心に――
はじめに
一 清張が手がけた子ども向け作品の概要
二 初出『中学コース』における「武田信玄」
三 『信玄軍記』と『決戦川中島――風雲の武将信玄――』、二種類の再生産について
――絡みあう欲望――
まとめと今後の展望
音楽聴取が始動させる物語………………………………………………広瀬正浩
――浦沢直樹『20世紀少年』における対抗文化の諸相――
一 問題提起
二 空間の占拠と他集団との差別化
三 ロックミュージックのイデオロギー
四 身体性の模倣と音楽史的記憶への参照
五 音楽メディアをめぐる聴取者の欲望
六 読者の行方
――まとめにかえて――
「戦記マンガ」を読む……………………………………………………酒井 敏
――そのリアリティの在り処・<勇士>の肖像外伝――
はじめに
一 方法
二 『紫電改のタカ』・人間の戦争
三 『戦空の魂』・兵器の戦争
おわりに
目次
童謡の系譜・序論
孝子貞婦の続き物と慈善活動―明治一〇年代を中心にして
『小学生全集』と『日本児童文庫』の位置―教育界の動向を手がかりに
中学校教材としての「走れメロス」を読む
松本清張「武田信玄」、その再生産をめぐって―一九五〇年代を中心に
音楽聴取が始動させる物語―浦沢直樹『20世紀少年』における対抗文化の諸相
「戦記マンガ」を読む―そのリアリティの在り処“勇士”の肖像外伝
著者等紹介
原國人[ハラクニト]
国語教育・物語文学
酒井敏[サカイサトシ]
近現代文学・文化
甘露純規[カンロジュンキ]
盗作論・著作権論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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