内容説明
ドイツの社会理論家、ニクラス・ルーマンの理論を法現象の分析に応用。ルーマンの理論は、教説の体系としてではなく、一種の理論プログラム、方法論として捉えたときに、その魅力が際立ってくる。法にかんするルーマンの論考を、このプログラムの一つの実行例と位置づけ、かつ、そのプログラムをルーマン自身が立ち入って検討しなかった領域にも適用していく。
目次
第1章 法現象分析の方法
第2章 システムの同定―ポスト福祉国家の法現象
第3章 社会システムと身体と意識―生命倫理の現場
第4章 日常世界と法システム―社会のなかの法的議論
第5章 法システムと政治システム―リスク社会における技術評価
第6章 全体社会レベルでの機能分析
著者等紹介
毛利康俊[モウリヤストシ]
1962年大分県大分市に生まれる。1996年京都大学大学院法学研究科博士後期課程基礎法学専攻単位取得退学。現在、西南学院大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷほは
2
晩年ルーマン理論の整理から、メディア概念の重要性を指摘する点は(大黒2006)と同様だが、その全体像を「動的双相論」と呼ぶ、コミュニケーションとシステムの重合を「波動」として表現する独自の立場を打ち出している。また個々の分析に中心/周縁や包摂/排除図式を強調する点は(三上2010)や(三上2013)で論じられる他の社会学理論との接点も見えてくる興味深い分析で、それらが各章でリスクや生命倫理を主題とした法理論と共に紹介されている。間違いなく、近年のルーマン派社会理論の応用の中で最も濃密な成果の一つだろう。2017/08/15