出版社内容情報
一見,非合理的と思われる判断や意思決定の背景にある「よさ」を,日常的に馴染みのあるトピックを取り上げながら解き明かす。
内容説明
私たちの「非合理的」な振る舞いに潜む「よさ」を解き明かす!
目次
第1章 よい意思決定とは何か
第2章 表現の違いに影響を受けた意思決定
第3章 経験則(ヒューリスティック)の“賢い”性質
第4章 忘れて、誤ることでよい判断を生み出す
第5章 “名は体を表す”、“数字の力”―名前と数字が生み出すバイアス
第6章 人をよい意思決定者にできるのか―ナッジ、ブースト
著者等紹介
本田秀仁[ホンダヒデヒト]
2007年東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。現在、追手門学院大学心理学部准教授、博士(学術)。専門分野:認知科学・意思決定科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shin_ash
6
最近マイブームの越境する認知科学シリーズの一つ。本書はヒューリスティックな意思決定とそのバイアスを肯定的に捉えて解説する。そもそも情報が殆ど無い状況で意思決定しなければならない際にはヒューリスティックに決めるわけだが、そのメカニズムの一端が解説されている。そう言う意味ではヒューリスティックはシグナルを利用することで、情報の少なさの割にはそこそこの打率が期待できる方法論なのだろう。ただ、著者はバイアスの肯定面を強調するところが気になる。善悪は文脈と解釈を伴うので、もっとプレーンな記述であればなお良かった。2021/06/12
Go Extreme
2
よい意思決定とは何か: 確率と意思決定の関係 確率が与える影響 よい意思決定 表現の違いに影響を受けた意思決定:フレーミング効果 確率情報の表現法 言語確率の特徴 話者の会話行動 経験則(ヒューリスティック)の賢い性質:代表性・利用可能性 バイアスを生みだすのか 再認 流暢性と親近性 有用性 忘れて・誤ることでよい判断を生み出す:記憶容量の効率的活用 人間の記憶システム 認知モデリングの手法 記憶の誤り 名は体を表す・数字の力:名前と数字が生み出すバイアス 人をよい意思決定者に:ナッジ ブースト2021/04/03
apoptosis
1
この本を読んだからといってよい意思決定が出来るようになるかと言われればそうではなく、「よい判断や意思決定は簡単に達成できるわけではない。意思決定者がモチベーションをもち努力することが必要。」である。この本はその手掛かりとなる確率評価、フレーミング効果、ヒューリスティック、過誤記憶、潜在的エゴティズム、ナッジ・ブーストに関して実際の実験結果を参考資料として用いながら分かりやすい言葉で説明してくれている。自分の様な認知科学入門者にとっては非常にわかりやすい一冊であった。(数学が苦手な人は難しく感じるかも。)2023/03/24
kabokawakabo
1
中見たらナッジが書かれているらしいので読破。 ナッジに釣られて読んでいたので最後の後書きで気づいたが、内容は人の意思決定についての解説を積み上げていくような形式だった。 ポジ・ネガ表現の差異を汲み取り、限られた知識の中最適な判断をする、特定の文字といったより特殊なケース、最後に上記の意思決定理論など人の意思決定を促す仕組み「ナッジ」「ブースト」と全体の流れは洗練していた。 個人的に、所々滑らかに読めない部分があったのは活字に慣れきってないから?または、心理学系の解説分野が新体験だった?2022/11/01
rassy0
1
実際の事例やデータと、それを私たちが受け取る時の、評価や比較の「ずれ」が、とてもわかりやすく描かれていた。いろんな実験とかの例を出してくれるので、イメージしやすいし、流れも追いやすい。最後にナッジとブーストで締めるのもなるほど(結局のところ、ナッジの批判的検討がしっかり為されていただけに、「ナッジの問題点やっぱり解決してなくない?」という疑問が個人的には残る)。2022/06/14