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出版社内容情報
1990年代に入り,消費社会の進行はついに飽和点に達した。すべてを殺菌・漂白し,否定的なものを完全に排除したかに見える社会――だが,「悪」は滅んではいない。それは眼にみえない膜となって世界を覆い,ウイルスのようにシステムに侵入してくるのだ。エイズからコンピュータ・ウイルス,株の暴落からテロリズムまで,「世紀末」世界の戦慄のシナリオを提出する。
内容説明
時代は世紀末に―いよいよ先の見えなくなる社会の動き。かつて「消費社会」論の新時代を拓いたボードリヤールが、この世紀末の世界を見きわめ、近未来的な予測を展開した成果がここにある。彼は言う―。〈悪〉が眼にみえない膜となって、世界を覆っている、と。きわめて今日的な事象を数多くとりあげ、あざやかに解読してゆく本書は、推理小説を読むような意外性と、SFを読むような想像の快楽を与えてくれる。
目次
狂宴の後で
美的なものを越えて
性的なものを越えて
経済を越えて
超伝導体的な出来事
オペレーショナルな白さ
ゼロックスと無限
消毒と有毒性
欲動と斥力
テロリズムの鏡
悪はどこへ行ったのか?
ネクロスペクティヴ
エネルギーの運命
呪われた部分のテオレマ
ラディカルな他者性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hikarunoir
3
表題は「呪われた部分/有用性の限界」と等しく「他者」を指し、時を経てなお我々もイスラム同様、辺境として他者性の拭えなさを増しているとも分かる。2016/06/18
アルゴス
0
初期の象徴交換を軸とした考察から、新たな段階に入ったボードリヤールの著作。多数の文明論的な考察を集めた書物になっている。西洋の社会は悪を嫌い、それを社会から排除しようとする。しかし悪は呪われた部分として社会に裏から復讐する。悪と否定性を排除した社会は、同時に肯定性と善も無化してしまうからだ。ウィルスのように、排除された悪が「透きとおった悪」として現代の社会を襲うのである。2017/12/28
ipusiron
0
1999/5/11読了
tss
0
シミュラークルな現代の真実