内容説明
伊勢佐木町、野毛、中華街、クイーンの塔、敗戦から十年、傷は癒えるためにも痛む。夜学、電話交換手、毛先生の産婦人科、スト破り、行方不明、四姉妹はだが、精いっぱいにすこやかであった。―『ちょいとかくせ』待望の青春編。
著者等紹介
中川由布子[ナカガワユウコ]
1936年、東京生まれ。6歳から横浜に住む。50代から、作家宮原昭夫の下で小説を学ぶ。横浜ペンクラブ会員。大衆文学研究会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tsubaki
1
昭和27年、電話交換手として働き出したミチと、その家族の物語。 大きな事件が起こるわけではないけど、ミチちゃんの成長や家族の変化を追えるこんな小説は好きだな。 慣れない仕事に奮闘し、憧れの先生や友達にかこまれ過ごすミチちゃん。両親の事を疎ましく思ったり、母親を女性として見て残念な気持ちになったり、近いが故に胸の内にぼたぼたと溜まっていく不満。 四姉妹それぞれがたくましく成長していくのが清々しくて応援したくなった。2018/05/03
こぶた
0
★★★★ ストーリそのものより、戦後の関内近辺や電話事情の様子、その中に生きる家族の日常が伝わってきてよかった。主人公にも共感が持てた。2010/08/07
ハルト
0
主人公みちがつなぐ、家族の絆の物語。家族の、姉妹の、温かいだけでない、どろりとしたほの暗い、怒りや恨みや嫌悪の情もが書かれてあって、家族というつながりの不思議さを味わった。作者の、どこかつき放したように冷徹な家族へのまなざしは、サザエさんとは対極的。でもこれも正しく家族と思った。2009/09/26