内容説明
ロマンティックかつ繊細な筆致でみる者を魅了するイラストレーター・宇野亜喜良。少女を題材とした作品を中心に、彼の画業の魅力に迫ります。
目次
第1章 意匠
第2章 装飾
第3章 細部
第4章 変容
第5章 連環
第6章 物語
第7章 資料編
著者等紹介
宇野亜喜良[ウノアキラ]
1934年、愛知県名古屋市に生まれる。名古屋市立工芸高校図案科卒業後、カルピス食品工業に入社、広告デザインに携わる。60年、亀倉雄策、原弘らによって設立された広告制作会社・日本デザインセンターに入社。64年同社を退社し、横尾忠則・原田維夫と設立したスタジオ・イルフィルを経てフリーランスとなる。65年、和田誠・横尾忠則・灘本唯人・山口はるみらとともに東京イラストレーターズ・クラブを設立、デザイナーとは区別された職能集団としてのイラストレーターの地歩を築く。マックスファクターの広告美術、寺山修司の「天井桟敷」のポスター、絵本や小説の挿絵、装幀など、確かな筆致とデザイン性、幻想的な画風で活躍しつづける戦後日本の代表的なイラストレーターの一人
近代ナリコ[コダイナリコ]
1970年生まれ。文筆家。ミニコミ誌『modern juice』編集人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
22
〈図書館本〉少女画というと、おおた慶文やミュシャといった誰が見ても「かわいい」系が好きです。なので、宇野亜喜良、金子國義系は苦手だし、米倉「ドグラマグラ」を宇野亜喜良作と勘違いしたくらいだから、お恥ずかしい限り(でも、似てません?)。本書では資料編、インタビューなどが充実している気がします。中原淳一に影響を受けたとか、少女趣味への愛着の発露に混じって、寺山修司や横尾忠則、和田誠などとの交流などが、語られて、親の世代の人なのだと実感。2018/01/06
藤月はな(灯れ松明の火)
17
宇野亜喜良氏の絵はどこか無表情なのに挑発的な気だるげな官能性溢れる人物像や禁忌的でエロティックな物語性があり、好きです。そして「新婦人」のデザインなどの今でも色褪せない美しさに吐息が出ずにはいられません。余談ですがこの本に収録されている絵を見ている時に東京事変のアルバム「大人」を聴いていたので「宇野氏の絵でこのアルバムの曲から得たイメージが見てみたい」とふと思いました。2011/09/19
nyanco
12
宇野亜喜良さんの今までのお仕事について、意匠/装飾/細部/変容/連環/物語と6つのエレメントによって分析された本。江國香織さんと穂村弘さんの特別寄稿も面白かった。魅力的でエロティックで不思議な世界を描き続けていらっしゃる宇野さん。小さい頃は見てはいけない世界にドキドキ…1960年代に、こんなにもデザイン性の高いお仕事をされていたって凄い…。今見ても充分に魅力的なデザインで全く古さを感じず、新しさすら感じる。これからも益々のご活躍を期待しております。2010/10/17
読み人知らず
10
おしゃれな本であるとおもう。越路吹雪さんとか、ポスターを見るとほんとにおしゃれ。宇野さんとのコラボレーションで双方がおしゃれになっていく。男性だけど女性的なエロスでした2014/06/20
むつぞー
9
どこか物憂げな独特の雰囲気をもつ画家として有名だと思いますし、また名前を知らなくともその絵を観たことはあると思います。 その氏の画業を装飾性、物語性、細部といった切り口から紹介する他、雑誌での特集記事再録やエッセイ、対談なども収録しています。 できればもっと厚い本でも良かったのに…というのが本音。もっともっと絵が観たかったの。 でも内容的には満足なんですけどね。2010/10/17