内容説明
編年体による初の完全版全集ついに刊行。未発表・未収録作品をはじめ日記、対談・座談にいたる全作品を収録。
目次
高丘親王航海記
裸婦の中の裸婦
「都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梟をめぐる読書
12
澁澤龍彦という作家のあらゆるエッセンスが凝縮された空想旅行記『高丘親王航海記』、奔放な対話体の文章で裸婦画の魅力を説く『裸婦の中の裸婦』、死後刊行となった最後のエッセイ集『都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト』。いずれ作者の最期を飾るに相応しい、会心の作が並ぶ。だが一頭地抜けているのは、やはり『高丘親王航海記』だろう。天竺を目指す親王一行のトンデモ航海譚のはずが、作者の病状とリンクして、次第に物語中の女たち(藤原薬子やパタリヤ・パタタ姫)に先導されての〈魂の降下の旅〉という『神曲』的な性格を強くしていく。2013/08/02
∃.狂茶党
8
澁澤龍彦死す。2025/04/04
紀梨香
2
自らの病でさえ真珠のイメージに結晶させてしまう「高丘親王航海記」 東西の裸婦を集めた「裸婦の中の裸婦」 今読んでもモダンで美しい作品集。2014/10/26
723
1
高丘親王航海記の真珠の項は、作者自身の病状が思い起こされる。号を呑珠庵としたこともそれで理解できたが、どこまでも彼の世界だなあと思った。鎌倉や滝野川についての文章は読むときどき脳裏に彼の姿を想像して、勝手に楽しんでいる。サラマンドラの火が燃え続けたらどんなによかったかと考えてしまう。2011/10/13
もっさん
0
『高丘親王航海記』のみ読了。高丘親王が天竺を目指してお供と共に旅をするファンタジー。空を翔んだり、獏が出てきたり、不思議な夢を見たり、当時の人が知らない筈の未来の知識を持ち出したり、かなり突拍子も無い内容だったけれど、面白い作品だった。主人公の高丘親王の性格は親しみやすく、お供達もかなり良いキャラ。秋丸が途中離脱したのは悲しかったけど。秋丸の代わりに旅に加わった春丸は秋丸と瓜二つという設定だったけど、僕の頭の中では完全に幼女だった。あとパタタ姫がエロい2011/07/29