出版社内容情報
スマホ、ゲーム、市販薬にエナジードリンク、誰もがなりうる「依存症」について、最前線で治療にあたる精神科医がやさしくひも解く。
内容説明
なぜ“ハマる”のか?どんなふうに“治っていく”のか?中高生の事例から依存のしくみが見えてくる。
目次
第1章 気づいたらハマってた―モノへの依存1
第2章 居場所がほしかっただけなのに―モノへの依存2
第3章 依存症のしくみと歴史
第4章 僕が僕であるために―行為への依存1
第5章 傷つけることで生きている―行為への依存2
第6章 依存症の根っこにあるもの
第7章 社会と依存のいい関係
著者等紹介
松本俊彦[マツモトトシヒコ]
1967年生まれ。精神科医。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長。1993年佐賀医科大学卒。横浜市立大学医学部附属病院精神科、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所司法精神医学研究部、同研究所自殺予防総合対策センターなどを経て、2015年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
155
「世界一やさしい」は「易しい」だけでなく「優しい」でもあった。ひとの脳をいちご大福に例えた図解に始まり「脳がハイジャックされた状態」の依存症について解りやすく解く。ご自身の治療例をふんだんに挙げながら各章の終わりには自分が、そして大事な人が…の問いに的確に、そして思い遣りに溢れた「ヒコ先生の相談室」が配される。「依存症は人に依存できない病」大切なのは「ありのままの自分を許す」こと。もし依存症になってしまってもそれで全てが終わるわけではない、やり直す事は絶対できる。そんなメッセージで溢れていた。2021/11/16
えみ
63
同じジャンルの専門書を5冊から10冊読むとそのジャンルにかなり精通できると聞いたことがあった為、ちょっと試したくなった。というわけで、自分実験開始!最初の一冊。なぜ『依存症』にしたのかは…聞かないで。自分でも謎だから。意図せず選んだが、結果よかった。依存は誰の身にも起こる。現に身近だ。アルコール、ニコチン、カフェイン、薬局薬、ネット、ゲーム、お菓子、恋愛、自傷、アイドル等々。ものすごく興味がもてるため、今後数冊読む予定だが、続けられそう!本書は主に脳と依存の関係が詳しく書かれている。まさに依存症の入門書。2023/02/02
ネギっ子gen
56
「ゲームがやめられない」「エナジードリンクにハマった」「リスカをやめたい」など、誰もがなる可能性のある「依存症」について、依存症専門医が「一緒に考えてみませんか」と提案――。著者は訴える。<過ちを犯した人を断罪する前に、まずは背景を想像してほしいのです。違法な薬物の初回使用は、通常、その人が人生に絶望のあまり自暴自棄になっていたり、仲間や人とのつながりに飢えるほどさみしかったり、自信のなさを補うために「人と違う何か」を必要としていたりする状況で起きるものです>と。【困った子は、困っている子かもしれない】⇒2021/10/21
ころこ
43
分かり易くメカニズムを説明するのにはそのことを十分に理解していないと出来ないことなので、むしろ大人用の本よりも子供向けの本の方が書き手の力量が問われます。「ダメ、ぜったい」に代表される厳格で近代的な人間観ではなく、本来的に人間はモノに対する依存し易さを持っていることを認め、人的関係も含めた程々のバランスのとり方が大切だとする人間観を描いています。恐らく本書にたびたび出てくる信じられる大人と信じられない大人の差異はこの人間観の違いに端を発しており、このことが問題を生じさせているとすれば、大人に対する教育や啓2022/05/05
たまきら
41
読み友さんの感想から素晴らしい本に出会えました。わかりやすい説明、豊富なケース紹介、寄り添うメッセージ。悩み多き時代だからこそ、依存症はより顕著になるーそのことを実験から教えてくれる「楽園ネズミと植民地ネズミ」にはぞっとします。状況の悪化を防ぐためにも早期発見早期治療、そして状況の改善、という肉体の健康なら当たり前のことを精神面でも気にかけていきたいです。読めてよかった。2023/07/15