内容説明
古くより現代に伝わる妖怪話の数々。絵巻、版本、錦絵などにも描かれ、子々孫々、私たちの近くにいる妖怪たちは、なぜ闇夜に生き残り続けたのか?畏怖の対象として、また愛らしい友達として跳梁跋扈を繰り返す彼らの正体とは?我々の祖先とは、いかに折り合いをつけてきたのか?多数の貴重な図版を示しながら、日本人と妖怪の“交流”を浮き彫りにする。
目次
プロローグ 知られざる11種の妖怪が出現した
1 あなたのそばで息を潜めている妖怪たちの影を追う
2 妖怪天国ニッポンを化物たちが今日も跳梁跋扈する
3 人をもてあそび、恐怖に陥れる異界の巨人たちの正体
4 危機に現れ、人を導く“予言獣”たちの事件簿
5 目の前にヌッと出る妖怪に心を許していいのか
著者等紹介
湯本豪一[ユモトコウイチ]
1950年、東京生まれ。川崎市市民ミュージアム学芸員。妖怪資料の収集と調査を行なっている
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感想・レビュー
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あび
10
明治初期ごろは、新聞の一面に妖怪が出た話をデカデカと掲載していたようだ。新聞記事が取材写真ありきになっていくにつれ、挿絵でしか発表できない妖怪記事は隅に追いやられていったよう。珍妙な妖怪の絵を眺めるだけで楽しくなる。2019/07/31
fujitami
0
絵巻、錦絵、双六、新聞記事……様々な媒体に残された妖怪達の軌跡/妖怪は架空の存在であるがゆえに、その姿やキャラクターの描写には時代を生きた人々の畏怖・羨望といった感覚が練り込まれている、どうやらかなり容赦なく/口伝から新聞へと、スピード面からもビジュアル面からも情報の質が向上したために話からまず地域差が消え、信憑性も消え、しまいには記事そのものが消えてしまったといった流れがなかなか切ない、いま栄えているものはもっと合理的に跡形もなく消えてしまうのだろうなと予感させられる2019/05/09