出版社内容情報
音楽の才がありながら、亡き母に変わって家族の世話を強いられるスウ姉さんが、持ち前のユーモアと共に生きる。村岡花子の名訳復刊。
【著者紹介】
1868年ニューハンプシャー生。アメリカの児童文学作家。病弱な少女時代を過ごした後、ボストンの音楽学校に学ぶ。1913年発表の『少女パレアナ(ポリアンナ)』とその続篇で一躍人気作家に。1920年没。
内容説明
ピアニストを目指しながらも、亡き母に代わって家族の世話を強いられるスウ姉さん。父の銀行が破綻し、恋人が去ってもなお、持ち前のユーモアを支えに、与えられた場所でタフに生きていく。『少女パレアナ』のエレナ・ポーターが、世界中の女性に捧げた物語を、この作品を深く愛した翻訳家・村岡花子の名訳で贈る。
著者等紹介
ポーター,エレナ[ポーター,エレナ] [Porter,Eleanor H.]
1868‐1920年。アメリカの児童文学作家。ニューハンプシャー州で病弱な少女時代を過ごした後、ボストンのニューイングランド音楽院に学ぶ。24歳で結婚した後、作家活動を開始、1913年に発表した『少女パレアナ』とその続篇で、一躍人気作家となる。『スウ姉さん』が絶筆となった
村岡花子[ムラオカハナコ]
1893‐1968年。山梨県甲府市生まれ。東洋英和女学校卒業。英語教師、編集者を経て、児童文学の創作や英米文学の翻訳の道に進む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
90
資産家のはずが突然無一文になったギルモア家。ピアニストになる夢を封印して、父親を介護しつつ妹と弟を養うスウ姉さん。ユーモアを交えつつも鋭い人間観察。作者のポーターも村岡花子さんも「パレアナ」よりずっとお気に入りの作品らしい。確かにスウ姉さんの生き方は現代の日本でも十分あり得る、普遍的な問題。女性として共感する部分が多い。自分勝手な妹・弟や婚約者が酷いなあ。それでも、そんな彼らの望みを優先するスウ姉さんが優しすぎて…歯痒い。2019/07/12
紅香
32
父の看護、弟妹たちの世話で明け暮れる毎日。人生を犠牲にしてきたスウ姉さん。とても他人事とは思えない。スウ姉さんは世界中にごまんといる。もしかして全員スウ姉さん、あるいは予備軍ではないだろうか。笑顔の陰に沢山の涙と愚痴。分かるよと抱きしめてあげたくなる。私達はスウ姉さんになるために強靭さとユーモア、愛と尊敬と感謝を身につけなくてはならない。タフじゃないと生きられないのか…、あー、しんどっ!犠牲ではなく機会と悟ることはできるのか。それでも最後はハッピーエンドだったと思う派。この世のスウ姉さん達に祝福あれ!2019/02/23
はるき
25
家族を支えることに献身した女性の人生。彼女は本心では何を思い生きたのか。才能を伸ばす機会を家族の為になくし、恋人を妹に奪われる。気がついたら中年のオールドミスになっていた。彼女の献身が彼女を不幸にしたとは言いたくないが、彼女があまりにも優しかったからこそ周囲が甘えて人生を捧げさせたように思えた。彼女の人生が不幸だったとは言いたくないし言えないが、損な役回りを演じさせられたとは思ってしまう。人生は思うようにはいかないし、現実にも当てはまる普遍的な話だ。これは重い。だからこそ名作だ。2016/04/07
ソングライン
21
多くの人に喜びを与えることのできるピアニストへの夢を持ちながら、弟妹、病気になった父の面倒を見続けるスウ姉さん。自分の青春を犠牲にした10年間、父が亡くなり、弟妹が独立した時、自分になるため、ピアニストになるため都会に向かうスウ姉さん。しかし、そこには芸術の厳しい現実が待ち受けます。最後にスウ姉さんが見た結末とは。そこに自分の名声が残らずとも、必要とされる誰かのために生きること、それは決して無意味な生き方でないと思わせてくれる物語です。2021/01/22
アニー
21
スウ姉さんの境遇は確かに可哀想ではありましたが、彼女の人生は決して不幸ではなかったと私は思います。 父が亡くなり、いよいよ音楽家になろうとスザナがボストンへ行った時、教授に指が固くなったことを指摘されて泣く泣く諦め帰ったのではなく、今まで自身が犠牲と思って費やしてきた時間が、音楽という手段ではなかったけれど、誰かを幸せにすることのできた時間だったのだと気付いて、彼女は幸福を感じました。自分の生きたいように生きたから、だから満足で幸せだったと、そう振り返る人生よりも、私は素敵だと素直に思います。2017/11/14
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