内容説明
自分の気に入った幻想小説のアンソロジーを、好みのままに花束のように編んでみたい―泉鏡花、江戸川乱歩、夢野久作から安部公房、三島由紀夫、倉橋由美子まで広がる豪華絢爛な幻想パノラマ。「文学の美食家」澁澤龍〓が選りすぐった16名の珠玉の傑作短編集。日本文学史に燦然と輝き続ける幻想文学アンソロジーの金字塔。
著者等紹介
澁澤龍〓[シブサワタツヒコ]
1928年東京生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業。マルキ・ド・サドやジャン・コクトーの著作を翻訳するかたわら、美術評論、中世の悪魔学、文芸評論、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを発表するなど、幅広いジャンルで活躍。81年『唐津物語』で泉鏡花文学賞受賞。晩年は『高丘親王航海記』(88年に読売文学賞受賞)など幻想的な小説を執筆した。87年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
20
好きな河出書房新社3月の新刊。これは過去のアンソロジーの新装版(復刻)だそうです。しかし、河出文庫の澁澤龍彦さんの著作がほぼ生きていて(大抵版元品切れ重版未定が普通)今でも手に入ると言う事は幻想文学ファンには僥倖とも言えると思う。このアンソロジーは初めて読みましたが、難しいのも有りましたが凄く楽しい時間でした。解説の高原英理さんはこの文庫での初出です。乱歩の『押絵と旅する男』安吾の『桜の森の~』は何度読んでも新鮮な感動がある。あと夢野久作のも。それ以外では日影丈吉の『猫の泉』が良かったです。2025/04/15
有理数
12
澁澤龍彦が編んだ幻想小説アンソロジー。一編一編のパワーが凄すぎる。相性が良くないお話もあったが、基本的に全て名作に相違なし。鏡花「龍潭譚」が巻頭を飾るのも最高。安吾「桜の森の満開の下」は久しぶりの再読だが、今回の方が沁みた。初読みで嬉しかった出会いは、日影丈吉「猫の泉」島尾敏雄「摩天楼」椿實「人形紀聴」など。目立つのは「都市」の物語である。架空の都市、そして想像力によって彩られた都市。「人工的なスタイルこそ幻想文学」と澁澤は語るが、人工物の極致は都市、ということなのかも。名アンソロジー。2025/05/03
おだまん
12
澁澤龍彦選の本人作を含む16人の幻想文学アンソロジー。とにかくバラエティに富んだ作家たちの作品を一気に読めるのが楽しい。気になりつつ読む機会のなかった泉鏡花、今の時期にぴったりな桜作品、これぞ日本の猫怪談、三島のゴシック風味超短編などなど。この流れは今のアニメなどにも通じる日本人のDNA?。最後のSF?がとても好き。2025/04/03
mim42
11
新装版を機に再読。20年以上前に読んだ時のポジティブな記憶はあるが、今回は読みづらさと古めかしさが残る読後感。加齢とは。傑作も多い。鏡花、安吾、夢野、乱歩は時代を超える。初読時に知った島尾敏雄「摩天楼」は今も色褪せない。山本修雄「ウコンレオラ」は諸星大二郎的な絵が見えてくる。他にも、いかがわしく胡散臭い雑居の描写が素晴らしい「人魚紀聞」(椿實)、名画家の鉛筆習作のような三島「仲間」など。しかしまあ、小栗虫太郎は全て拒絶、埴谷雄高の作品の存在意義とは…安部公房は好きだが収録作は駄作。左寄り観念小説は無理。2025/06/03
5〇5
8
澁澤龍彦氏が美意識で選んだ幻想小説16編が収録されています。現実が変容し、幻想と交錯する物語はどれもスタイリッシュで妖しく魅力的ですね。時代を超えた暗黒のロマンが詰まった珠玉のアンソロジーです。2025/04/25
-
- 和書
- 少年グッチと花マル先生