内容説明
ことばの悪葉、良葉ふくめて、もっともっと溌剌と、颯々と「さやいで」ほしいという願いから綴られた代表エッセイ集。「東北弁」「京ことば」から「まあ どうしましょう」「詩は教えられるか」をへて谷川俊太郎、井伏鱒二、山之口貘らの詩の世界へいざなわれる。単行本未収録「はてなマーク」など三本を加えた、決定版・茨木のり子の世界。
目次
1(東北弁;京ことば;「させる」と「使う」;「戒語」と「愛語」;清談について;まあ どうしましょう;語られることばとしての詩;美しい言葉とは)
2(詩は教えられるか;私の好きな三月の詩;谷川俊太郎の詩;井伏鱒二の詩;金子光晴 その言葉たち;はてなマーク 工藤直子の詩;推敲の成果 書評『山之口貘全集』全四巻;内省)
著者等紹介
茨木のり子[イバラギノリコ]
1926年、大阪府生まれ。詩人。同人誌『櫂』の創刊にかかわる。翻訳に『韓国現代詩選』(読売文学賞)などがある。2006年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
150
茨木のり子さんの言葉はいつ読んでも、私の丸まった背中をシャキッとさせると感じている。全部は理解できない無能な自分だけれど、それはそれでもいいのだ。本作の特にⅠにある『清談について』は、ガンガンガンと頭を殴られた感じだし、『美しい言葉とは』は何度も深く頷きながら沁みた。また、単行本未収録の『はてなマーク』は私も好きな工藤直子さんとのことで嬉しかった。本作のタイトルの意味は「言葉よ、ざわざわと音たててざわめけ」茨木のり子が言うから好いんだなぁ。2024/01/09
KAZOO
104
茨木さんの言葉に関するエッセイとほかの詩人についての評論が掲載されて楽しみました。とくに言葉についての「「させる」と「使う」」というエッセイは私には何気なく使っている言葉について考えさせてくれる文章でした。また詩人の谷川俊太郎、井伏鱒二、金子光晴については私も好きな詩が結構多くありました。いい本で再読しようと思っています。2024/01/31
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
17
昨年末に書店で見かけて、即買いを決めたものです。「ことば」論、作家論などが大半を占めていて、大胆かつ辛辣なものも見受けられますが、爽快でさえありました。年明け一冊目としては、幸先のよい読書だったと思います。ブログ → https://my-book-life.hatenablog.jp/entry/2024/01/27/0046252024/01/20
makimakimasa
14
著者の詩が胸に刺さるという友人の話で興味を持ち、ちょうど文庫化されたばかりのエッセイ集を読んでみた。学習の手引きが至れり尽くせりの昨今の国語教科書を「子供独自の感受性、能動性を先取りし、きわめて押しつけがましい」「教師の個性に溢れた、とびきりの解説が行われるかもしれない場をも奪っている」と指摘。詩の解釈を質問してきた中学生の手紙に「詩を読むのに、まるで真理か定理を探求するような姿勢である」と困惑。詩は自由に読み取り、心に触発される物があれば良しとする。詩人評では井伏鱒二と金子光晴が気になった。2024/02/08
読書ノオト
5
2024年第一冊。詩人茨木のり子による「言葉」に関するエッセイ集。底本は1975年に発行されているが、未だ一切古びることのない見事な文章である。「自分の言葉」「本質の言葉」を求めながら、リアリズムと夢想の交錯点を探る所作として言葉を紡ぎ続けた詩人。井伏鱒二、金子光晴の再考など、詩にめっぽう疎い私でも心の底から楽しめるような息遣いが伝わる名文で、これは一読に値する。美しい言葉の条件、率直さの価値、茨木氏が見つめ考え続けてきた言葉に関する思索の蓄積は、美しい一つの宝石となって輝きを増しているようにすら思える。2024/01/08