内容説明
日本最古の和歌集『万葉集』には、貴賤を問わず老若男女の「素直な心の訴え」が約4500首収められている。宮仕えのつらさ、酒飲みへの共感、老いらくの恋への戸惑い、伴侶を失った悲しみ、ふと覚える孤独感…。現代のわれわれと変わらない喜怒哀楽が詠み込まれた歌の数々から、人生をいかに生きるべきかのヒントを読みとる。
目次
1章 責任と報酬、家庭とメンツの間で―「仕事」は食べる手段か、生きていく目的か(働かなければ食えないが…―人は何のために働くのか;俺がいなくて大丈夫?!―プロとしての条件とは ほか)
2章 順風満帆な一生などない―「逆境」に白旗をあげるか、不遇を背に生きぬくか(もはや、これまでか…―大きな苦難にどう立ち向かうか;あの日に帰りたい―この世の「変化」には抗えない ほか)
3章 思い乱れる女と男をつなぐ真理―何度も「恋」に溺れるか、ただ一人を愛しきるか(苦しくて、切なくて―「恋の道」に今も昔もない;あなたしか見えない―本物の恋は“一途”である ほか)
4章 親、子、伴侶…と離れてわかること―「家族」の意味を見失うか、絆を感じて共に歩むか(なぜこの子か、この親か―最も苦悩するから「愛しい」;誰よりあなたが恋しい―離れてつらいのは子より親 ほか)
5章 つらくても楽しくても、いつかは終わる―空しさ・孤独に立ちつくすか、ただ一度の「生」を輝かせるか(親しい人との永訣―「生きる」とは悲しみの本質から目を背けること;時間はどんどん流れ去る―年をとるほど「生」を実感する ほか)
著者等紹介
吉村誠[ヨシムラマコト]
1954年、奈良県奈良市生まれ。1977年、國學院大學文学部文学科卒業。國學院大學大学院文学研究科博士課程後期中退。博士(文学)。現在、山口大学教育学部教授。専門は上代文学で、研究の中心は『万葉集』の大伴家持(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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