内容説明
「俺は生まれながらの乱暴者さ。ガンジーの断食もマザー・テレサの博愛も…俺の暴走を止めることはできない」―衝撃のデビュー作『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』と三島賞受賞作『あらゆる場所に花束が…』を繋ぐ、作家・中原昌也の本格的誕生と飛躍を記す決定的な作品集。無垢なる絶望が笑いと感動へ誘う。
著者等紹介
中原昌也[ナカハラマサヤ]
1970年、東京生まれ。01年『あらゆる場所に花束が…』で第14回三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
100
23
ブンガクを換骨奪胎。 中身がスカだけのクジのアレゴリー。2021/01/31
とら
16
たまにこういう不条理で、読む人が読んだら不快感しかなくて、勿論現実に批判的な小説を読みたくなるので、相変わらずぴったりな作家だ。作品に関しての感想はこういう小説を読みたい気分だったので読みました、というほか特にないけれど、あとがきが凄い。編集者は表現の自由をもってして、これにゴーサインを出したのだから凄い。2020/05/26
ちぇけら
14
ポケットからナイフを取り出した、真っ暗な闇に光った。それはパンパンに勃起した性器だ。亀頭の先から出ている透明な汁だ。ひとを殴ってみた。ポルノ映画はいつまでも流れている。頽廃。この言葉を何度も呟いた。所詮は性欲と暴力で頭がいっぱいなんだよ人間は。うっ…と声をもらしてマスターベーションする気持ちはどう?ねえどんな気持ちなの?教えて?ねえねえねえ。自意識にまみれた欲を消費する気分は?「これが真実だ、本物なんだ。よく見ろ!」目をこらして見たがそこにあるのは歪んだ街並だ。どろっと白く濁った、くだらない世界。2019/01/12
たろさ
12
何かのきっかけで『あらゆる場所に花束が…』を読みたくて購入したら入っていなかった。読んでる途中で気付いたが訳がわからないまま読了。本を読んだというより辻褄が合わない夢を見ているような不思議な体験。著者によるあとがきが切ない。2020/05/08
ぽち
9
登録数の割に感想が少ないのはおそらくどう評価していいのか、どう読んだらいいのか分からないとかいうのだろう、わたしは中原昌也さんの小説は混乱混濁と、それ以上に無意味なのが素晴らしいと思う、この短編集の中では「黒ヒゲ独身寮」が特に素晴らしい。とわたしは感じた、他のひとがどうかは分からない。何度かほかの本の感想でも書いたとおもうけど、芥川賞受賞作のレビューでよく見かける「著者が何を言いたいのかよく分からない」大前提で小説は言いたいことを伝えるための表現形式ではない、そんなことすらも分からない人間が氾濫する。2024/03/04