内容説明
速度が問題なのだ。音にしても言葉にしても―。ジャズ界の異端児、阿部薫。作家であり女優であった、鈴木いづみ。傷つけ合いながらも、互いに激しく求め合った男と女の凄絶な愛の軌跡!第三一回女流文学賞受賞の感動作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ykshzk(虎猫図案房)
16
傷つけ合うことと慰め合うことは、実は同じなのではないかと。どうしようもない愛の表れが違う見え方をしているだけなのではないかと。触れたらお互いの才能で火傷をしそうな夫婦の実話。激しさはベティ・ブルー並みか。(本書で激しいのは主に夫のほうだが。)「全部あげるわ。私の体のすみずみまで。足の小指。切り取ってあげてもいいわ。」と言った妻はその直後本当に足の小指を失うことになる。お酒と薬と病のせいとはいえ。その後、前歯も失う妻。彼女を一度は救ったのは新しい命の存在だった。町田康と広田レオナによる映画版あり。見たい。 2022/07/22
harass
3
実在した天才ジャズ奏者阿部薫と小説家女優鈴木いづみについての小説。この小説は同名映画の原作になっている。どちらも激しい性格でお互いの愛というか妄執というか息苦しい。お互い薬物と酒に溺れる破滅型で、そういう二人がひっついてとても幸せとは思えないが必然のような関係だった。いづみからの視点で生々しく描かれていて、彼との出会いと生活と死別、その後彼女と彼女の自殺までを描く。この作家は初めて読むが良い文章を書くなと感心した。この本の魅力は素材の二人のせいもあるがそれ以上に一定以上の筆力と作者の切実さだと思った。2012/12/21
kera1019
3
昨日、BOOKOFFで見つけて購入。この映画が好きで何度も見たんでこの本読むのは確認作業やったけど、ホンマ良かった。2012/09/15
三木
2
実在していたのが本当に信じられない。サディスティックでマゾヒスティックで、痛いほどの病的な相互依存を感じました。感情移入の隙もありません。2010/12/29
tomo*tin
2
ひとつの関係の、はじまりと終わり。ひとつしかない関係の、速度と激情。ジャズ界の異端児と呼ばれたアルトサックス奏者の阿部薫と、作家であり女優であった鈴木いづみ。深く重く壮絶なふたりだけの激愛。70年代の欠片。2008/11/04
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