内容説明
16世紀末から18世紀へと続く動乱の時代、ヨーロッパでは断続的な危機感と終末感にうちひしがれていた。そして世界救済の謎の秘密結社の出現が噂された。その名は薔薇十字団。以後さまざまな局面にその神秘の存在は幻視されたが、確たる実体は常に闇の中にあった。果してその正体は何であったのか?残された教理を考察しその核心に迫るエッセイ集。
目次
1 薔薇十字の沿革
2 薔薇十字の魔法
3 愚者の旅
4 化学の結婚
5 薔薇の秘蹟
ボヘミアの小さな城
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TKK
8
秘密結社と聞いてすぐに思い浮かぶのがフリーメーソンと薔薇十字団です。特に薔薇十字団は中世ヨーロッパにおいても伝説的であり、そのいかがわしさと退廃的イメージで数々の文学作品のモチーフになり、私にとって心躍る存在です。かなり難解で理解できたとは言い難いのですが、科学的な錬金術と非科学的な魔術を操る賢者や、象徴である薔薇と十字の深意など、とても興味深い内容でした。2018/04/25
eirianda
4
もし欧米がキリスト教よりも超自然的魔術信仰寄りになっていたら、もっと日本人はシンパシー感じてたかも…? しかし人の名前わからんすぎて、挫けそうになった。知ってるのはカサノヴァとかジョンディーとかサンジェルマンとかクローリーとか、怪しいのばかり。ええ? シェイクスピアも薔薇十字って? ムムム…。2014/06/02
uni
3
面白い!1614年にドイツでとあるパンフレットの付録として発表された「薔薇十字団の伝説ファーマ・フラテルニタティス・r・cr」により世界の表舞台に現れた秘密結社、薔薇十字団について。錬金術、東欧的魔術、四大精霊、そしてそれらを利用した詐欺師やらの話がてんこ盛り。中でも不死の人・奇怪人・ペテン師として有名なサン・ジェルマン伯の話は面白かった。一体何年生きてんだ(笑)不死やテレパシー魔術らの伝説やら逸話やらがこんなに多く公的に残っているとは。種村氏が訳した「化学の結婚」も読まなければ。2013/08/07
Shozo Takahashi
1
結局、最初はフィクションの結社だったのに、本気にしちゃった人たちが実際に、秘密結社作っちゃったお話し。そのフィクションが当時の空気に如何に適合してたのがわかり、興味深かった。
小池馨子
1
このなかの「世界の書、燃える図書館」「ローゼン・クロイツの復活」『科学の結婚』が読んでいいてどきどきしました。2010/01/13