内容説明
懐しい歌謡曲にのせ、貞淑の論理にのっとって展開される、アイロニカルな現代の女性論。三島由紀夫の『反貞女大学』に対抗し、貝原益軒の『女大学』がこだまする美しい皮肉に満ちた16章。“余計なお世話”も“いらざるお節介”もものともせずに見事に構成されたそのカリキュラムの一端をお見せすれば―。
目次
貞女の不器量
貞女の不得要領
恋すれば人は皆、貞女
貞女の乾燥期
貞女の片瀬波
貞女は男を立てるもの
貞女の暗い昼下がり
貞女の千成瓢箪
貞女の黒眼鏡(ジュヌヴィエーブ篇;マドレーヌ篇)
貞女の君待てども
貞女の男皺
男の貞女/純情篇
貞女の針仕事
貞女の時期尚早
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Inzaghico (Etsuko Oshita)
4
最後の章「貞女の時期尚早」で、橋本は子どもの頃に徹底して子どもをやる、背伸びして大人なんかになってはいけない。ぼんやり「ああ、幸せな未来ってこうなんだな」と思いながらひたむきに子どもとして生きなければ、人間としての基礎体力がつかない、と言っている。けだし慧眼といえよう。 「気立て」、「愛嬌」、「器量」の考察も頷かされる。器量よし(今さらながら、器量ってなかなか味わい深い表現だ)でなければ、自分で頑張って、最終的に器量を超越した美しさが生まれる、そのためのツールが「気立て」、「愛嬌」というわけだ。なるほど。2019/12/01