出版社内容情報
お家の大事と密命を帯び、再び藩を出奔――用心棒稼業で身を養い、江戸の町を駆ける青江又八郎を次々襲う怪事件。シリーズ第二作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
524
【海坂藩城下町第10回読書の集い「冬」】未読作品が少なくなってくると読み惜しみする作家のひとり。最近ではイベントの時に集中して読むようにしている。シリーズ2作目。又八郎と佐知の関係が少しずつ変化しているのが切ない。そしてこのモテ男の顔を拝んでみたい(笑)シリーズ後続(既読)を読み返したいがすでに手元にない。佐知との関係はどうなったんだったか。剣客ものの中にも市井の人びとの息吹きが感じられる、さすがの代表作。https://bookmeter.com/events/141072025/01/11
yoshida
188
用心棒日月抄第2巻。魅力的な登場人物、人情の機微、手に汗握る青江の剣。藤沢周平さんの良さが充分に詰まった作品です。前巻の最後に無事に藩に帰参した青江又八郎。しかし、大富家の生き残りで剣客の大富静馬が出奔。大富は前藩主毒殺という藩の秘事の証拠書類を持ち江戸に潜伏。青江は間宮中老より大富より書類を取り戻す密命を受け再び江戸へ向かう。慌ただしい由亀との祝言。江戸では懐かしい細谷に再会。また、前巻で命を救った嗅足組の佐知と再会し次第に心を通わせる。人情あり、恋愛あり、緊迫感ある剣劇の場面あり。一気に読ませる傑作。2016/05/16
ヴェネツィア
163
又八郎シリーズ第2弾。ここでも又八郎の「情」がいい感じだ。それに何より、今回は佐知の存在が光っている。けなげで、万事に抑制がきいていて、それでいて芯の強さと、内に秘めた情熱を併せもっている。妻の由亀も、そんなタイプだから、あるいは、藤沢周平の理想の女性であるのかも知れない。そして、江戸にあって憧憬する国元も、また、又八郎がしだいに慣れ親しんできた江戸の地も、それぞれが土地の感覚に対するたしかなリアリティがあり、物語に深みと確かさとを与えているようだ。2012/07/29
じいじ
129
2019年の初読み、また読メ「読んだ本」の1000冊目は、大好きな藤沢作品に決めていた。今作は、人気シリーズ「用心棒日月抄」の第二弾。骨太の長編剣客小説で期待通りの面白さだった。ただし、入院病床での読書で集中して読むことができなかったのが残念であった。「楽しい読書」は、心身ともに健康であることが不可欠だと、この度の入院でよくわかりました。2019/01/23
ぶち
115
シリーズ第2巻。今作も面白かったです。又八郎は密命によって再度脱藩。盗まれた藩主毒殺の証拠書類を追って江戸へ。またもや用心棒稼業で糊口を凌ぎながらの書類の探索。証拠書類を追うのは藩の二つの派閥。さらに、藩の取り潰しを狙う公儀隠密までもが加わっての三つ巴戦。又八郎に加勢するのは藩の秘密警察組織ともいえる嗅足組の女組員(スパイ)。こんな設定なんですもの、面白いに決まっています。迫真の斬り合いシーン、女スパイとの情事、用心棒仲間の屈託と人情なども加わって、時代小説の魅力に溢れるエンターテイメントとなっています。2022/01/30