内容説明
戦後演劇の到達点、戯曲集成。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
織沢
2
下巻の一部を読んだ。読了したのは以下の作品。 『ぼくらが非情の大河をくだる時』 『泣かないのか?泣かないのか一九七三年のために?』 『楽屋』 『戯曲冒険小説』 『わが魂は輝く水なり』2020/10/15
nightowl
2
上巻読了。下巻の自分の正体が分からず懊悩したり狂ったりする主人公という作風に向かう迄模索中の作品が多い。それらより追われる男と女のハードボイルドチックな小劇「朝に死す」、管理社会下で切符を買おうと行列をなす人々に向かい文句をつける青年「真情あふるる軽薄さ」(結末の演出が怖い反面格好良い)、チャリティーショーに爆弾を投げ込んだ若者。彼らの祖母が仲間を連れて裁判所へ来たことから進行が滅茶苦茶に「鴉よ、おれたちは弾丸をこめる」が面白い。特に後者二作は丁々発止のやり取りが鋭く、文庫化されていないのがとても疑問。2017/07/17
nightowl
2
下巻を読了。正体を失くした人物とあなたは××なんですと言い聞かせる人物のせめぎ合い話が多い。その手の作品では、「藪の中」風のどの証言が真実なのかくらくらする「青春の砂のなんと早く」、にいさんと呼び掛ける謎の"あいつ"「花飾りも帯もない氷山よ」の二作が短く引き締まっており出色。それ以外では、家に車をぶつけられたのに平然としている一家。彼らに翻弄される男女「ぼくらは生れ変わった木の葉のように」(奇妙譚好みとしてにやりとする)、メークをしている女優の微笑ましき(?)会話「楽屋」が独特の会話のテンポで面白かった。2017/05/06