出版社内容情報
ドゥルーズ唯一の絵画論にして最も重要な芸術論。「器官なき身体」の画家ベーコンの〈図像〉に迫りながら「ダイアグラム」と「力」においてドゥルーズの核心を開示する名著。新装版。
著者情報
1925年パリ生まれの哲学者。スピノザやニーチェの研究を通じ西欧哲学の伝統を継承しつつその批判者となる。主著にF・ガタリと共著『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』『哲学とは何か』他。
内容説明
ドゥルーズ唯一の絵画論にして思考の核心。「器官なき身体」としての“図像”に迫りながら絵画も芸術も超える次元に思考を展開し、新たな哲学をつくりあげる名著。
目次
円、舞台
古典絵画と具象との関係についての注釈
闘技
身体、肉そして精神、動物になること
要約的注釈:ベーコンのそれぞれの時期と様相
絵画と感覚
ヒステリー
力を描くこと
カップルと三枚組みの絵
注釈:三枚組みの絵とは何か〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
wadaya
8
絵画にはモデルも物語も無い。物語性は絵画それ自体によって作用するものを無にする。写真は説明的、資料的機能を持つが、絵画を本物そっくりに描くことは、絵画の本質を見誤らせやすい。常に写真との矛盾を突きつけられるし、そういう意味では、近代絵画が抽象に走ることで自己として絵画の本質に迫ろうとしたことは理解できる。実際、画家がまっさらなキャンバスの上で仕事を始めると思うのは間違いで、キャンバスの表面は既に紋切型に包囲され、これらと縁を切るところから始めねばならない。これは作家も同じで、初めからすらすら書き始めた→2024/03/03
Ex libris 毒餃子
8
フランシス・ベーコンは好きな画家です。具象絵画と評されますが、彼の作品を通じてドゥルーズの思想に触れられて良かったです。2023/01/22
tyfk
4
francis-bacon.comにあるカラー画像、色彩がきれいで、モノクロ画像でみたときの印象とはぜんぜん違った。セザンヌへの言及がかなり多く、メルロ=ポンティのセザンヌ論を睨んでの批判的展開、ちとそのあたりの文脈も気になった。2023/07/14
すべての
0
ベーコンはドゥルーズの著作を、自分が言ったことを抽象的に書き直してるだけという理由で好ましく思わなかったというエピソードをどこかで目にして、僕は『肉への慈悲』が好きなので理解しやすくなった気がする。2024/01/06
なかじま
0
読んではみたものの、まだ理解が追いついていない。なので、期間をおいて再読チャレンジします。2023/04/15