内容説明
「至福の館」トプカプ宮殿の奥深く、神秘のヴェールに閉ざされたまま、歴史から消え去ったハーレムとは何だったのか。歴史文献、書簡、旅行記、絵画など厖大な断片資料をつなぎ合わせながら、オスマン帝国400年の歴史を華麗に染めあげたグランド・ハーレムの実相を克明に描いた歴史ロマンの名篇。
目次
第1章 グランド・ハーレム(ハーレムの起源;ハーレムの日常生活;コスチュームと宝石;浴場;食事とデザート;スルタナの生涯;宦官の世界)
第2章 市井のハーレム生活(日常のハーレム)
第3章 西洋と東洋の出会い(東方への憧れ;オリエンタリズムが残したもの;オスマン帝国の歴代スルタンとスルタナの年表)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
湖都
2
多彩な図版を収録し、見ていて面白い資料だった。ただ、叙述している国や時系列が急に変わることと、似たような話が繰り返し述べられていることには辟易した。多彩な図版も、後世の欧米で再現されたものや想像画が多く、正確性は疑問だ。2017/08/14
hrn
2
パラ見。1991年初版だが、現在でも十分資料に耐えうる本。トルコ生まれの女性が成人後アメリカにわたり学問を積み書き上げられた。丹念に調べ上げていることがわかる良書。視点が西洋文化側寄りに偏りがちになるテーマだが本著は中立的で好感もてる。2009/08/22
in medio tutissimus ibis.
1
トルコ人女性が書いたにもかかわらず、また微に入り細を穿つ描写があっても、本書が西洋的な視線でハーレムを窃視した以上のものでないことは残念である。大半はオスマン帝国のハーレムやそれに関する西洋人のオリエンタリズムに基づいた空想の歴史で占められているため資料は西洋人の手になるものがほとんどを占め、ハーレムでの暮らしをじかに知る親類からの資料提供は受けたにもかかわらず活かされずにいる。フェミニズムをはじめとする現代西洋的な視点がつよく、またそのバイアスの強さには無自覚で、当時の当地の人間の言葉が乏しいのが遺憾。2017/05/09
megyumi
0
後宮の内側で自由に振る舞えるはずの権力者がしばしば窃視趣味に走るのは不思議なことである→2014/12/08
家守
0
オスマン・トルコのハーレムに関するうえで最高の良書。 豊富な絵画や写真とともに解説される内容は偏見もなく、資料としてだけではなく、読み物としても耐えうる面白さがあった。2013/08/05