出版社内容情報
初期代表作「燃える家」から2000年代の傑作まで、日常に潜む「静かな物語」10篇を収録。アメリカを代表する女性作家の傑作集。
【著者紹介】
1947年ワシントン生まれ。1970年代半ばから作品を発表し始め、新世代の旗手として注目を集める。現代アメリカを代表する作家の一人。邦訳に『燃える家』『愛してる』『貯水池に風が吹く日』など。
著者等紹介
ビーティ,アン[ビーティ,アン] [Beattie,Ann]
1947年米国ワシントンDC生まれ。バージニア大学名誉教授。1974年、雑誌『ニューヨーカー』に短篇「プラトニックな関係」を発表してデビュー、一躍注目を集める。PEN/マラマッド賞、O・ヘンリー賞、アメリカ芸術文学アカデミー文学賞など受賞多数。現在、画家である夫のリンカーン・ペリーとともに、フロリダ州キーウェストとバージニア州シャーロッツビルで暮らしている
岩本正恵[イワモトマサエ]
1964年生まれ。翻訳家。東京外国語大学英米語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
74
こういう男、いるいる!!感と言葉遊びに満ちた日常を描いた短編集。「かわりを見つける」は父の死後に母が見つけた愛に動揺する娘。「分かり合える」という幻想を抱かせる親子という関係は近すぎるからこそ、分かり合うことは出来ない。「高みから」は娘の結婚を間違いという元夫とその妻の心境の差があるが、過去の思い出の再現が美しい。「ロサンゼルスの奇妙な1日」は主人公が父に似過ぎていて苛立ちと同時に苦笑せざるを得ない。「ウサギ穴」は人生の折り返し時点での望んでいた事を叶えられる機会の到来に戸惑い、嘆く女の機微が見事。2016/09/01
miyu
39
昔からの知り合いみたい。彼女たちと一緒に周囲の男性たちのヘタレ具合を呆れるでもなく半ば「諦め」ながらお喋りしてる。そのお喋りは会話が少なくてポツリポツリっていう感じなんだけど、頂いているコーヒーは極上なのかすごく旨い。わざわざ口には出さないが誰もが小さなことでひどく傷ついていて、それを隠して(人からというより自分の目から)平穏に過ごしてる。その綻びが些細なことから大きな裂け目になり収拾がつかなくなるが、実はそこからが本当の物語の始まりなのかも。付き合いの長い(数少ない)女友達と密やかに共有したい短編集だ。2015/03/29
yn1951jp
26
愛とドラッグによって平和/革命を目指した60年代の生き残り、熱狂の後の不確実性の時代の中で浮遊するアメリカの知識人の日常を描き出す。Minimalismの作家は、近代建築の巨匠 Mies van der Rohe の唱えた "Less is more", "God is in the Detail" の手法で、同時代の共感を誘う。生活の背景には、Lou Reed, Roger McGuinn, John Lenon, Mick Jagger が流れている。2014/09/04
吾亦紅
25
短編集。印象に残ったのは『ウサギの穴』。アルツハイマーの母との噛み合わない会話、それよりももっと不毛な弟とのやり取り、しかし弟の彼女の手紙が彼女を救う。表紙の女性がとても美しい。2022/11/22
りつこ
24
ミニマリズムという単語が流行った頃、夢中になって読んだアンビーティ。久しぶりの新刊に懐かしい!と飛びついた。改めて読むと、こんなに胸の痛くなるような苦い物語だったのか、と驚く。そして二十代の自分にこれが分かったのか?背伸びしてたのかもなぁ、とも。とても良かった。辛い話が多かったけど不思議と慰められた。そして翻訳がいい!見ればわたしの好きな作品ばかりじゃないか!翻訳されてる作品。久しぶりに翻訳家読みをしたくなった。2014/07/23
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