- ホーム
- > 和書
- > 文芸
- > 海外文学
- > その他ヨーロッパ文学
内容説明
互いの若さを冷笑しあう美しい少年少女。そして彼らの若さに憑かれた2人の中年男―殺人への意志を背景に織りなされる、姦視者たちの倒錯した欲望!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キャンダシー
62
素晴らしい作品。逆説のオナニストであるフレデリクによって、最も卑俗で崇高なものをナルキッソスの逆転した遠近法のなかで崩壊させ、新たに模型の神と扼殺された美が支配する、清廉で猥雑な神秘劇にまで仕立て上げた。ヘニアとカロルは視線を交わさずに見つめ合い、無言のままで囁き合う。若い二人の未完成の遊戯は、両性具有ファシストであり、午前三時のルシフェルでもある。そこでは、恋愛的エロスなど翼の折れたセルロイドのキューピッドに過ぎない。√−1 として割り込んでくるユジェクとともに、フィナーレも完璧ですよ、ヴィトルドさん!2020/11/23
hirayama46
2
ううむ、これもまた奇妙な小説だなあ。起こっている出来事はそれほど異常でもないけど、語り手のフィルターを通すことにより、物事はどんどん歪に、異形になっている。彼の「若さ」に対する意識は、いったいなんなのだろう。色々と考えさせられます。ぼくの読解力不足もありそうだな……。/パートナーのフリデリクはたいへんデモーニッシュで印象に残る人でした。こわいなあ。2009/12/27
h
1
ポーランド人はポーランドに献身する度合いが少なければ少ないだけ、それだけより多くポーランド人になり得た。詭弁?もっとはっきりさせてみよう。ポーランド人は生まれつきポーランド人である。従って彼がより多く自分であることによって彼はますますポーランド人となる。だから私のポーランド超克願望は、我々の個人的ポーランド性強化の欲求と同じ意味になる。2017/11/01
龍國竣/リュウゴク
1
203頁の記述が印象的だ。若者は「自己自身に対して犯す」。この行為によって「若さは自己を確認する」。ゆえにその行為は「若い人を酔わせる」。実に作者らしい言い回し、発想だ。私=作者が理屈をこねながら物語る。私の自意識過剰さが滑稽にもみえる。2014/09/29