内容説明
現実と夢の間をさ迷う、純白のウェディング・ドレスの少女メラニー。血染めのドレスに暗示される、両親の突然の死。メラニーは、奇怪な玩具店の経営者、繰り人形に異常な執着を示す叔父フィリップの欲望に巻きこまれていく…。性の目覚めとそれに伴う様々な喪失。少女の成長の痛みを鮮烈に捉えた、いまイギリスで最も注目を集めているアンジェラ・カーターの意欲作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tona
5
メラニーの自己愛とセックスへの憧れが最高潮に達する序盤。あの甘美な少女の世界から、暴力的な叔父が支配する人形の館に転げ落ちる。カーターの作品の中では、これが一番おもしろかった。2015/03/16
Нелли(ネリ)
2
カーターの多作品に比べたら相当に読みやすくて吃驚する ワイズ・チルドレンの大宴会っぷりが好きな私の好みとはちょっと違うのだけれど思春期の少女の危ういバランスを描き出す筆致は流石2018/08/29
龍國竣/リュウゴク
1
破れたウェディング・ドレス、三本脚の犬、叔父の作った機械式人形、大英帝国博覧会の跡地でのキス、殺された白鳥。「完璧すぎるほど完璧な言語」によって鮮やかに紡ぎ出された物語、また少女の処女性。幻想とフェミニズムの交差点、その極致がここにある。2014/10/11
はなまるこ
1
大学のジェンダー論の授業で触れました。女性は精神的に自立していても、結局結婚がゴールなのかなと思いました。それにしてもこの叔父さんの性格、現代にもいそうですよね。2012/01/11
tktn
0
不自由のない生活から一転、気難しい叔父の下で暮らす羽目になったメラニー。華やかなショービジネスの世界の話だった『ワイズ・チルドレン』や『夜ごとのサーカス』と比べると、かなりふつうの話。とはいえ、過剰装飾ではないがきらびやかな文章は健在だし、文章を味わうためにはむしろ、こういう古典的な話が合っているのかな、と思った。 古典作品からの引用などを全然読み取れなかったのは残念だった。教養が必要だ。 2012/02/10
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