出版社内容情報
母の死を契機に、これまで黙して語らなかった「母」との複雑な関係を描き切る。「二度死んだ」母とは?「母」をめぐる旅の果てには?静謐な筆致の中の圧倒的迫力に、作家の覚悟が漂う感動作。
著者情報
1940年東京生まれ。慶応大学文学部卒。『時代屋の女房』で直木賞、『鎌倉のおばさん』で泉鏡花賞受賞。著書に『アブサン物語』『北の富士流』『アリと猪木のものがたり』『猪木流』『老人の極意』『老人流』等。
内容説明
突如明かされた実母の存在。母の手記から浮かび上がる、秘められた自らの生い立ち。虚実のはざまにゆれる生の軌跡は、「母」をめぐる旅―異色の自伝的長篇!
著者等紹介
村松友〓[ムラマツトモミ]
1940年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。82年『時代屋の女房』で直木賞、97年『鎌倉のおばさん』で泉鏡花文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
148
異色の自伝的長篇!と帯にある。恥かしながら村松作品はかなり昔に『時代屋の女房』を読んだはず(しかもストーリーは思い出せず汗)友視が生まれる前に上海で客死した父。若くして未亡人になる嫁を案じて産まれる子を自分の戸籍の末席に入れた作家の祖父・梢風。両親はいないと祖母(梢風の妻)に育てられた友視が実母の死に直面する第一章から全三十八章まで、全ては火宅の人・梢風の功罪?存在が大きすぎたのだなぁ。本妻、事実上の妻、実母、異父姉妹・・そこから見える村松友視の心情が、私には淡々として逆に現実的な人と感じて読了した。2022/11/16
toshi
10
著者の自叙伝(?)。 雑誌に連載していたものを書籍化したということで、(多分)一回分が1章になっている。 そのせいで、章の冒頭が前章のおさらいだったり、同じ内容が何度も書かれていたり・・・。 本にまとめるときに、見直して欲しかった。 祖父の村松梢風(本名:義一)のせいで複雑な家庭環境で育ったと言うことが分かった。 2022/11/07
烏骨鶏
1
作者の自伝的物語。生い立ちと作家であった祖父との関係を幾度も思い起こしては見つめ直す。 同時代であれば同じように家庭の経緯に翻弄された人は多くあったのであろうから、これを読んで同じ思いにかられる人も少なくないだろう。親や身内との関係というものは、自分がある程度の年齢に達したり、経験を経て全く違う見え方がするものだと思う。・・・しかし、私、やっぱりこういう私小説風のものって、読みにくいな。。2023/02/05
山内正
0
俗名村松友吉 一度も顔を合わせたことのない父 祖母の命がけと曲折を経て 私の手元に仏壇と共に届いた 母は死んだと聞かされていたが 九十七の大往生と斎場で聞く 遺影が飾られ母の顔を見た 息子としての感情の失せた顔で これで二度目と呟いた 病気で亡くなった二十七歳の父 東京で母は私を産んだ 母の記憶は全く無くて祖父は愛人の家で住んで 空襲が激しくなり離れ離れになる 祖父も母も父も知らない暮らしをして来た2024/09/27
chichichi
0
中断2023/05/03