内容説明
写真をとおして建築の何を伝えることができるのか。古今東西、歴史主義からモダニズムまで、名作から町の銭湯まで、35作品を相手に、下村純一がこの永遠の謎に取り組んだ一冊。
目次
第1章 まずは、建築観察―どこを撮るか、何がおもしろいか(ミラノ市立水族館―ジノリの鯉、発見;五大陸の家―その出会いが、異常 ほか)
第2章 機材と段どり―撮影準備、あれやこれや(シャルトル大聖堂―必携レンズ、3本;食糧ビル―東京の雪景色 ほか)
第3章 建築は、写真を語る―空間を撮ってわかる、写真の特性(ギャルリー・ヴィヴィエンヌ―道を写す、困難;旧秩父セメント第2工場―廃屋は、写真美なり ほか)
第4章 建築的写真論―写真は、建築を知っている(川奈ホテル―日本は、暗いのだ;ロンシャンの礼拝堂―ル・コルビュジエの、閉塞性 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アニッチャー
0
借読。建築写真は雰囲気で誤魔化せない。建築は「プロポーションを第一につくられた」ガッチリしたモノであるから、ダメな写真は自ずと構図や明暗の甘さを露呈する。というようなことを経験から痛感していたので、プロの写真で勉強しようと本書を手にとった。写真を通じて建築を語るという本であり、具体的な撮影技術の言及はあまりない。けれど、掲載された写真にはさすがだなーと感心。キャプションでは撮影の疲労が多く語られている。よく撮るにはよく観察することが一番のよう。いくつかの観点を抽出できたので真似してみたい。2014/06/11
fu-ma
0
あくまでも「写真的」なので当然かもしれないが、期待していたほど写真の話は多くない。ただし、写真を切り口とした時の建築の見方は参考になった。建築を目の前にして漠然とシャッターを切るのはマズいと思いながらもどういう視点で写真を撮ることがベターなのか、どういう切り口で撮影したらよいか迷うことがよくある。建築写真を考えるかのきっかけにはなると思う。2010/11/08
christinayan01
0
建築写真の話を期待してしまうが、撮影に関する話は殆どなかった。どちらかと言うと建築物のプロポーションを語っている内容。まあただ単に撮るよりも思いや動機づけをした方がいい作品が生まれるというのはポートレートにも言えることで理にかなってはいる。2015/01/25