内容説明
平安から中世にかけて、“家”のあり方が家父長制へと移りゆく頃。不慮の運命から、さすらいの旅へ向かう姫たち。さすらいの行く末に、結婚という新たな男系との接触が待ち受けるなか、彼女たちは「生きる」ために、運命にながされ、また抗っていく。『鉢かづき』『まつら長者』『しんとく丸』『をぐり』『源氏物語』『更級日記』という日本古典を題材に“家”と女の変革の“とき”をみつめ、同じ時間をいきる現代の“ヒメ”たちへメッセージを投げかける。
目次
1 ヒメのさすらい―家を継承する女神(御伽草子『鉢かづき』―鉢かづき 婿取りから嫁取りへ;説経『まつら長者』―さよ姫 女系復活)
2 乙姫のさすらい―連帯に生きる女神(説経『しんとく丸』―乙姫 消える乙姫;説経『をぐり』―照手姫 玉の輿に乗る女)
3 ヒメになるまでのさすらい―父に見捨てられた娘(『源氏物語』1―玉鬘 父系をめざして;『源氏物語』2―浮舟 さすらいの女系集団)
4 さすらう女君をみつめて―父系・母系を超える娘(『更級日記』―菅原孝標女 “さすらい”の究極)
著者等紹介
小林とし子[コバヤシトシコ]
1954年(昭和29)年大阪市生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科国文学専攻博士後期課程満期退学。作新学院大学等で非常勤講師。所属学会は、女性学会・日本文学協会等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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