出版社内容情報
目に入れても痛くないほど大事な娘の姫君に、「よくぞ帰り来たまいけるかな、こんのクソ親父がーっ!」と言われたのは、救国の英雄、藤原隆家。「誰に似たりや」とぼやけば、妻からは「殿にや」と呟かれる。時の権力者である道長のことなど微塵も恐れず、世間ではさがな者と評されている彼も、家では一人の父親だった。体は弱いが気が強い姫君の願いを叶えるべく、隆家が下した決断とは。
内容説明
目に入れても痛くないほど大切な娘の姫君に、「よくぞ帰り来たまいけるかな、こんのクソ親父がーっ!」と言われたのは、救国の英雄、藤原隆家。「誰に似たりや」とぼやけば、妻からは「殿にや」と呟かれる。時の権力者であり、叔父の道長のことなど微塵も恐れず、世間ではさがな者と評されている彼も、家では一人の父親だった。体は弱いが気が強い姫君の願いを叶えるべく、隆家が下した決断とは。宮中では自身の権大納言昇進、家では婿取り。その裏で渦巻くさまざまな思惑を蹴散らして、誰にも左右されない独立独歩の隆家をいきいきと描く平安歴史小説。
著者等紹介
阿岐有任[アキアリトウ]
早稲田大学卒業。東京大学大学院修了。2018年、歴史文芸賞にて、平安貴族たちの葛藤と愛を描いた歴史小説「籬の菊」で最優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
53
『刀伊入寇(葉室麟)』でかっこよく描かれていた藤原隆家が、国を守った英雄として凱旋帰京した後の物語。二人の娘(特に姉の姫君)の言いたい放題やりたい放題を受け入れる甘いパパぶりに驚きつつ読み進み、道長との関わりではマイペースぶりを発揮しているので納得する。この長女と三条院の二宮・敦儀との関わり等は史実のままだが、兄・小一条院に比べて地味な存在の皇子の哀しさや優しさや儚さが魅力的に描かれている。栄華を極めた道長と自分の人生(家庭)の幸せを希求した隆家の対比が興味深い。2022/08/22
宇宙猫
14
★★★★ 刀伊入寇で英雄となって京に帰って来た後の藤原隆家が、道長を挑発して政争を仕掛ける物語。破天荒な隆家が飄々と仕掛けるので、道長に抑えられていても苦々しく感じないため読み易くておもしろかった。周りから恐れられている隆家が、家では妻と娘の尻に敷かれているという設定も良かった。相変わらずの汚い言葉遣いや説明が多いのにはちょっとうんざりだったけど。2025/03/02
花林糖
11
面白かったです。「刀伊の入寇」後、京に凱旋した藤原隆家とその娘たちの物語。隆家を言葉でねじ伏せる病弱な姉の姫君と妹の若君。父が大宰府に赴任していた為婚期を逃す一歩手前。妹の若君には相手は居るが、姉の姫君には居らず婿探しに奮闘。会話が文語体というか古文調なのも良かったです。(例・いと畏くも、如何したるか、笑いたまるなよ、歌はいかがせむ)2024/06/21
ときわ
10
突然やって来たマイブーム「藤原隆家」。刀伊入寇の後、京に帰ってきてからの話。え~!帰って来た時そんなに恐れられてたの?まあ、「あのお方に矢を射かけたほど衝動で動く人だ」という共通認識を貴族たちに持たれていたようだから当然か。そんな隆家は二人の姫にめろめろなパパ。姫を幸せにしてやりたい、そのためならもともと考慮してない世間の常識をさらにぶっ飛ばしなんでもやってやる!これはそういう話なのかな。お隣さんの実資様は隆家と真逆の性格に思えるのだが、大変頼りになる素敵な方でした。2024/08/15
nasushi_hobarra
3
平安荒くれヤンキーおじさんが奔走する、娘の婿取り大作戦! このヤンキー、ちゃんと婿探しできるのか。そして、望月おじさん道長とどんなケンカを繰り広げ、どんな形で決着するのか。今作もまた、歴史に詳しくないほうが楽しく読める(かもしれない)作品です。 ラストまで見届けた後、ぜひ表紙の絵を改めて見返してほしい。きっと切なさに胸を締め付けられることでしょう。 残暑厳しいお盆休みのおともにぜひ。2022/08/07
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